第七十一話 劉備、何進を匿うのことその三
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「お客様というのは」
「多分俺のことだな」
「そうなんですか」
「そうだよ。華陀さんもだよ」
馬岱がまた劉備に話す。
「ここに来たお客さんだよ」
「そっちの二人はともかくとしてだな」
「絶対に違うと思いたいのだ」
関羽と張飛はまだ貂蝉と卑弥呼への警戒を解いてはいない。そのうえでの言葉だった。
「華陀殿はか」
「ここに来たのだ」
「そうだ、実はだ」
華陀は劉備達に対して話をはじめた。
「この御仁だが」
こう言ってだ。その後ろの頭巾の女に手を向けた。
「匿ってもらいたいのだが」
「むっ、貴殿は」
厳顔が女を見て眉をぴくりと動かした。
そのうえでだ。こう言うのだった。
「何進大将軍ではないのか?」
「わかるか」
その女からの言葉である。
「それは」
「うむ、わしのことも御存知だな」
厳顔はまた女に話した。
「厳顔じゃが」
「益州で太守をしておったな」
「その通りじゃ。その厳顔じゃ」
「知っておる。何度か会ったことがあったな」
「その通りじゃ。しかし貴殿は」
「処刑されたと聞いていました」
徐庶がそのことを話す。
「ですが。大丈夫だったのですか」
「大丈夫ではないが命はある」
こう答えた何進だった。
「こうしてじゃ」
「死体が晒しものになってないと聞いたが」
「本当に生きていたのだ」
関羽と張飛はそのことが意外といった顔で言った。
「まずは何よりだな」
「その通りなのだ」
「しかしよくないこともある」
華陀がまた一同に話す。
「少しな。困ったことになっている」
「困ったこと?」
「というと」
「いいか?」
華陀は何進本人に尋ねた。
「それを見せて」
「仕方あるまい」
憮然とした声で答える何進だった。
「だからな」
「わかった。それではだ」
「うむ」
こうしてだ。何進はその頭巾と取った。するとだ。
その頭には。それがあった。
「えっ、耳!?」
「耳って!?」
「猫の耳」
「何でそれが」
「まさかと思うが」
魏延が眉を顰めさせながら話す。
「大将軍は南蛮出身だったのか」
「言っておくが違うぞ」
本人からの言葉だ。
「わらわは洛陽の生まれじゃ」
「そうだったな。肉屋をやっていたのだったな」
「そうじゃ。繁盛しておった」
こう趙雲にも答える。
「妹が先の帝の后になってじゃ。肉屋は他人に譲ったが」
「そうでしたよね。将軍は洛陽の方でしたね」
「そもそも猫の耳はなかった筈です」
孔明と鳳統がまた話す。
「それで何故」
「どうして耳が」
「俺から話そう」
華陀がまた話してきた。
「将軍のこの耳は薬によってだ」
「猫子丹ですか?」
「それですか?」
孔明と鳳統がすぐに察して話した。
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