暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン  〜生きる少年〜
第一章   護れなかった少年
第三十二話 鬼ごっこ
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? そうだこのままだと二人とも死ぬ。でも、一人でも逃げ切ればいい。俺はAGIは低いがDEFは高い。
 それに対して背負っているこいつは? DEFは低い。が、AGIはかなり高い。

 要は......適材適所ってやつだ。

「そうだな......。最後まで足掻かせてもらうぜ!!」
「何を言ってるの!? 逃げなきゃ!! 」

 作戦を伝えることはできない、が。こいつなら、伊達に十数年一緒にいるわけじゃない。頼む。わかってくれ。

 そう思い、メイを背負ったままPohに突っ込む。普通に逃がしたところで、PohのAGIなら瞬間で俺を殺し、メイに追いつくくらいはできる。意表を突かなければ時間を稼ぐことすらできない。

そして、Pohまであと数歩、というところで、メイを壁に向かってぶん投げた。

「キャァァアアアアアア!?」

 突然のことにメイは悲鳴を上げた。瞬間、Pohも一瞬、かすかにそっちに意識をとられる。目の前の不可解な行動。何が起きたのか。たった一瞬だが、意識をそらせた。

「オラァアア!!」

 その隙を見逃さず、俺は斧をたたきつける。メイはそれで察したのか、壁をけり、そのまま着地。走り出す。

「なるほど。時間を稼ぐため、そして彼女を逃がすためだったのか。Marvelous!!素晴らしい!!」

 Pohは斧をその首切り包丁で受け止めながら笑う。そのまま一合、二合と打ち合う。

「だが、惜しい」
「あ?」

 武器をぶつけ合いながら、Pohはそうつぶやく。その単語に不安を感じ、バックステップ。Pohと距離をとる。が、Pohは距離を詰めてこなかった。それどころか、武器を構えていた手をだらりと下ろす。

 まるで、もう勝敗はついた、とも言わんばかりに。

「君は時間をかけすぎた。俺と対峙してすぐにその作戦を実行していれば、もしかしたら、俺からは逃げられていたかもしれない。だが遅かった。後ろを見るといい」

 Pohの言葉につい後ろを向いてしまう。

「――なッ!?」

「やっと、気づい、たか。 すべては、手遅れ、だがな」
「なぁボス!! もうこの女殺っちまっていいかなぁ!!」

 そこには、ザザがメイを羽交い締めにしていて、ジョニーブラックがメイの首元にナイフを突き付けていた。メイは意識を失っているらしく、頭を垂れ、無反応。

「メイを離せ−−ガッ!?」

 ジョニーブラックに斬りかかろうとした瞬間、勁部に衝撃が走る。

「無駄な足掻きはやめて、慈悲深き神の審判を待つといい」

 地面に倒れ込みながら声のする方向を見る。
 そこには、ここにはいないはずの……見張りをしているはずのヤコブがいた。

「そ……んな……」

 こいつ、隠密のスキルでずっと、
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