第三章
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「とても」
「そうなのか」
「確かに酷いことする時もあるけれど」
「それはどんな時だ」
「機嫌が悪い時、普段私がしても怒らないことで怒って」
そしてというのだ。
「凄くぶつけれど」
「普段はなのか」
「とても優しいから」
「それでか」
「あの、お父さんとお母さん助からないの?」
「手当をしようとすれば出来る」
これが蛭子の返事だった。
「それをしろというのか」
「お願い、これじゃあお父さんとお母さん死ぬから」
血の量を見ての言葉だ、どう見ても大怪我をしていてそれで今にも死のうとしている。少女にはそう見えた。
「だから」
「それでなのか」
「助けて」
「いいのだな」
蛭子は少女に確認を取った。
「御前をいじめていた者達だが」
「うん、お願い」
「御前がそこまで言うならだ」
それならとだ、蛭子も心の中で頷いた。
そしてだ、今しがた自分が徹底的に痛めつけた二人に手を当てた。すると二人共淡い青い光に包まれて傷は忽ちのうちに治った。
そのことに不思議な顔をしている二人にだ、蛭子は自分と少女の事情を話した。そのうえで二人に言った。
「御前達はこの娘に助けられた」
「そ、そうだったんですか」
「私達は」
「そうだ、御前達の娘に感謝しろ」
こう言うのだった。
「いいな、そしてもう二度とだ」
「虐待はするな」
「そう言われますか」
「今回はこの娘に免じて許してやったが」
それがというのだ。
「またこうしたことをすれば。わかるな」
「は、はい」
「もう二度としません」
二人は蛭子に怯えきった顔で答えた、そしてだった。
二人はもう二度と少女を虐待することはしなくなった、少女をいじめていたクラスメイト達には蛭子は少女が止める前にだった。
全員の腹を一瞬で殴った、するといじめっ子達は全員両手で腹を抑えて蹲り泣きだした。蛭子はそこにだった。
蹲っているいじめっ子達の顔に蹴りを入れようとしたが少女はそこで止めた。
「も、もう止めよう」
「今度は何だ」
「もうお腹殴ったから」
だからだと言うのだった。
「いいから。皆泣いてるし」
「御前はこいつ等にもいじめられていたな」
「そうだけれど」
「やられたらやり返せだ」
蛭子はここでも少女に言った。
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