第三章
[8]前話
「いいわね、それじゃあ」
「ああ、今からな」
住職は杏子に笑顔で応えた。
「食べるか、カルボナーラ」
「そうしましょう」
「サラダも食べてね」
住職の妻はそちらも忘れていなかった、そしてだった。
三人で晩御飯を食べた、それで杏子はそのカルボナーラを一口食べてから満面の笑顔でこんなことを言った。
「美味しいわね」
「ああ、これはいいな」
住職も一口食べてから言った。
「本当に」
「そうよね、おかわりもあるから」
「あっ、あるのか」
「ついつい茹で過ぎて」
このことは少し苦笑いになって言う杏子だった。
「沢山食べたいって思って」
「それでか」
「そう、つい茹で過ぎたのよ」
「また考えずにやったんだな」
住職は杏子のその性格を知っていたので少しやれやれといった顔になって言った。
「そこはな」
「ええ、気をつけてよね」
「そうするんだ、お寺はな」
「残したら駄目だからね」
「どんなものでもどれだけあってもな」
それが食べるものならだ。
「それは駄目だからな」
「それでよね」
「じゃあカルボナーラもな」
「それとサラダもよね」
「どれもな」
まさにというのだ。
「食べような」
「残さないでね、それで食べたらね」
「イタコの力もだな」
「その分確かになるし」
「やっぱり食べないと力が出ないんだな」
「そうね、何でも」
杏子は自分から言った。
「まずはね」
「食べてこそだな、今日は何もなくてもな」
「また明日ね」
「明日も学校があってそれでお寺のこともあるからな」
「頑張っていくわね」
「その為にもな」
「カルボナーラ食べるわ」
そしてサラダもだった、杏子は住職と話してだった。
実際にカルボナーラもサラダも食べた、三人で残さず食べた。杏子は食べた後は風呂に入ってその風呂を洗ってから明日も頑張ろうと三人で話をして休んだ。明日また義理の親達そして学校で親友である鬼堂院まなみ達と会うことを楽しみにしながら。
イタコの好物 完
2018・6・17
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