163部分:第十二話 夏に入りその十四
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第十二話 夏に入りその十四
「そうなんだ」
「そうなんです。もうそっくりで」
「何かそれを聞いたらさ」
陽太郎はここまで話を聞いてだった。そうして言うのであった。
「何か一度会ってみたくなったな」
「妹にですか」
「駄目かな」
こう月美にも問う。
「それは」
「それでしたら」
それを聞いてだ。すぐに返してきた月美だった。
「今度ですけれど」
「今度?」
「部活がない時にどうですか?」
「部活がない時って?」
「はい、その時に」
そして言う言葉は。
「私の家に」
「えっ!?」
そう言われてだ。思わず目が点になった陽太郎だった。
そしてだ。驚き狼狽した顔で問う返す。
「今何て!?」
「ですから。私のお家に」
陽太郎とは正反対に月美は落ち着いていた。
「どうでしょうか」
「どうでしょうかって」
「ですから私のお家に」
「本気で言ってるの?」
思わず問い返してしまった。
「それさ、本気で」
「はい、そうですけれど」
今度は笑顔であった。
「それでなんですけれど」
「嘘じゃないよね、それって」
「ですから。嘘じゃないですよ」
また言う月美だった。話が噛み合っていない感じだった。
「私のお家に。どうぞいらして下さい」
「本当にいいんだ」
「いいですよ。それでなんですけれど」
「うん」
「今度の日曜ですけれど」
今度は日まで指定されてきた。
「それでいいでしょうか」
「日曜なんだ」
「はい、どうぞそれで御願いします」
相変わらず微笑んでいる。
「斉宮君さえよければ」
「嘘みたいな話だな」
思わずこんなことを話した彼だった。
「何か本当に」
「嘘みたいですか」
「うん、そんな感じだけれど」
陽太郎は本気で言っていた。ただ月美がそれに気付いていないだけだ。
「それでさ」
「はい、いいですよね」
「御願いするよ。しかし」
ここでだ。何とか自分のペースに戻って話す。
「女の子の家なんて行くのは」
「はじめてですか」
「はじめてっていうかな」
また話す彼だった。
「子供の頃行ってそれ以来なんだよな」
「子供の頃からですか」
「普通は行かないだろ、男の家ならともかく」
「そうなんですか?」
「そうなんですかって。西堀そういうことしたことないの?」
「愛ちゃんは呼んでますよ」
椎名はというのである。
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