160部分:第十二話 夏に入りその十一
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第十二話 夏に入りその十一
「あの女の子もな」
「美人だしな」
「ああ、かなりな」
「アイドルじゃないのか?」
「あの、私は」
自分への賞賛の言葉を聞いてだ。月美はその顔を真っ赤にさせてしまった。かなり食べたので体温が上気しだしている時にそれであった。
「そんな」
「あれっ、照れちゃったよ」
「恥ずかしがり屋みたいだな」
「そうみたいだな」
ここで彼等もこのことに気付いたのだった。
「こりゃ悪いことしたかな」
「黙るか、じゃあ」
「そうね」
「あのさ」
そしてだ。陽太郎がここで月美に言うのであった。
「次はさ」
「あっ、次のお店ですね」
「何処行く?」
こう尋ねたのだった。
「何処に行く?それで」
「はい、それじゃあ次は」
「俺は何処でもいいからさ」
陽太郎は月美の好きな場所でいいというのであった。ここは彼女の好きな場所に行ってもらって自分はそれに合わせるというのである。
「西堀の好きな場所にしたらいいよ」
「私のですか」
「うん。それで何処に行く?」
これをまた問う。
「次は」
「それではですね」
「うん、それじゃあ」
「林檎ですね」
にこりと笑って言った言葉だった。
「ですからここは」
「青森か」
「そこでどうですか?」
青森はどうかというのである。
「青森の」
「青森の林檎かあ。何があるかな」
「林檎のお菓子って多いから楽しみなんです」
どうやら月美は林檎が好きらしい。それが表情にも出ていた。にこりと笑ってそのうえでだ。こう陽太郎に対して提案したのである。
「それでなんですけれど」
「じゃあそこにしようか」
「はい、じゃあそこに」
そうしてであった。二人でお勘定を払ってだった。そのうえでわんこそばの店を出て青森のコーナーに行く。そこには実際に林檎菓子が何種類も置かれていた。
その中には干し林檎やアップルパイ、それにアップルケーキといったものもあった。他にはジュースもある。まさに林檎尽くしだった。
「ああ、本当に林檎ばかりだな」
「それで何にしましょう」
月美は目を輝かせている。きらきらとさえしている。
「食べるのは」
「そうだな。アップルパイはどうかな」
陽太郎はたまたま目に入ったそれはというのだった。
「アップルパイで」
「そうですね。それじゃあそれと」
「他には?」
「干し林檎とアップルジュースですね」
その三つだというのだった。
「いえ、むしろ」
「むしろ?」
「アップルティーもありますね」
見ればその通りだった。アップルジュースの他にだ。アップルティーもあった。紅茶の赤ではなく独特の赤を二人に見せているのだった。
「それじゃあここは」
「アップルティーにしようか」
「そうですね
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