【紫陽花にいざなわれて】
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もどうぞ食べて下さい」
「雨の中わざわざすみません、ヒナタ様」
(や、やっぱり、もう一人の……歳上の、わたっ)
物陰からよく見ようと体を伸ばした結果、傾きすぎてドタッと派手な音を立ててしまう。
「え?…あの、もしかして、誰かいます?」
「──はい、どういうわけか、三年ほど前のあなたが」
「えっと…、私のことからかってます? ネジ兄さん」
「いえ。……何なら、逢ってみて下さい」
(え…?! さっきネジ兄さん、会わない方がいいって──)
ヒナタは焦って部屋の奥へ戻ろうとするが、もう一人の自分らしき声が呼び掛けてくる。
「ねぇ、姿を見せてくれないかな? 白眼で透視は出来るけど、何だか気が引けるし……」
「───」
ヒナタは意を決して、部屋の奥から玄関先へ向かうがその前に、もう一人のヒナタの方がネジの家の玄関から居間にやってきて驚きの声を上げる。
「わぁ、ほんとに髪の短い頃の私だ…! 一体どうしたの? どうやって三年くらい前から来ちゃったのかな??」
歳下の方のヒナタは目を見開いた。……少し歳上の自分というのは、背が伸びて髪も大分伸びている。着ているパーカーも今の自分とは違うようだ。
「どうやら逢わせても大丈夫のようですね。……三年程前のヒナタ様は、中忍試験で俺との予選試合を終えているそうです」
「そうなんだ…。じゃあ、ナルト君とネジ兄さんの本戦は……観戦したの?」
「え、ナルトくんとネジ兄さんの、本戦……?」
歳上の自分に言われて、ヒナタはおぼろげながらにその時を思い出す。
「そういえば、わたし……二人の本戦を観ていたはずだけど、途中で苦しくなってしまって……その後のこと、覚えてない……」
「そう、でしたか。……ならばやはり、俺のせいですね」
従兄の表情が憂いを帯びる。
「違います、ネジ兄さんのせいじゃない。私が自分勝手だっただけで──」
「あの後、どうなったんですか? ナルトくんと、ネジ兄さんは……」
歳下のヒナタが、三つ程歳上の二人に問い掛ける。
「それは……、あなた自身が元の時間軸に戻って、然るべき者から聴いて下さい」
「でもわたし、どうやって元の自分の場所に戻ればいいか……」
静かに諭すように言う従兄にヒナタは戸惑い、そんな過去の自分を見て歳上の方のヒナタは、ある事を問う。
「──ねぇ、あなたにとってネジ兄さんは……まだ、怖い?」
「怖い……とかじゃ、ないの。悪いのは……わたしだから。自分のせいでネジ兄さんのお父上が亡くなるきっかけを作ってしまったわたし自身が、怖かったの」
「うん……そうだよね」
「ネジ兄さんはわたしに、優しすぎると言っ
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