【紫陽花にいざなわれて】
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前に、何をしていたか覚えていますか?」
「その、よく覚えてないんです……ごめんなさい」
「謝らなくとも良いです。……どうやら何者かが変化しているわけでもなく、ヒナタ様自身が三年ほど前に戻ったわけでもなさそうですし」
「さ、三年前……?? そういえば、ネジ兄さん……何だかとても、大人っぽく見えます、ね…。今までも、十分……大人びてます、けど」
ヒナタは恥ずかしながらも、まじまじと従兄を見つめてしまう。
「今のあなたより、四つは離れているでしょうからね」
「そ、そうなんですか…??」
頭がよく追いつかない。──わたしとネジ兄さんは、一つしか離れていないはずなのに。
「──ところであなたは、中忍選抜三次試験の予選を終えているのですか?」
「中忍、試験……?」
心が不意に、ざわりとした。
「俺を見る眼が比較的落ち着いているので……そうなのではないかと思ったのですが、違いましたか」
「───??」
ヒナタは思わず下向く。
(……そうだ、わたし確か、ネジ兄さんと闘うことになって……棄権しろって何度も言われたけどしなくて……敵わないと分かってても、ネジ兄さんに少しでも認めてもらいたくて……わたしを見てもらいたくて。
でも何でだろう……わたし、ネジ兄さんに酷い事を言ってしまった気がする……。自分勝手で、無神経な──)
『わたしなんかよりずっと……宗家と分家という運命の中で迷い苦しんでるのは、あなたの方──』
(わたし……何であんなこと……。ほんとは、ネジ兄さんによく見てもらえてて、うれしかったはずなのに。わたしは逆に、ネジ兄さんを気遣ったつもりで……でも)
「──わたし……わたし、ネジ兄さんに、謝らなきゃいけないと思って……。何も分かってないくせに、無神経なこと、言って……ネジ兄さんを、怒らせてしまって……」
「やはり、そうでしたか。その後のあなただったんですね」
従兄は一度目を閉ざし、小さくため息をつく。
ヒナタは声を詰まらせ、俯いたままはらはらと涙を零す。
「俺に謝る必要はないので……ヒナタ様、少し遅れてしまいましたが朝食でも食べますか?」
「え……?」
「今日俺は休日だったので、朝起きて縁側に出た時にあなたを見つけたんですよ。気配すら感じなかったので驚きましたが……あなたからは特に、敵意などは感じませんし、変化しているわけでもなさそうですから」
「い、いいんですか、ネジ兄さんの朝食にわたしが同席しても……?」
「あなたが嫌でなければ」
「嫌だなんて、そんな…! お言葉に、甘えさせて頂きます…!」
先程まで流していた涙が引いて、ヒナタは嬉しくなって頬を緩めた。
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