第15話 英雄は空へ
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っと強くなって、驚かせてやろう!」
その日――エ―るは生まれ始めての挫折を経験し、そしてそこから立ち直る事も経験した。伝説の英雄を前に湧き上がってくる不思議な力も体験した。
今日の自分は昨日の自分よりもきっと強くなっている、そう感じながら、次の目的地シャングリラへと足を進めるのだった。
翔竜山上空。
エール達と別れたゾロは また透明化の魔法を己に掛け空を泳いでいた。
「………当初言っていた彼らと一緒に行く、と言うのは聊か無理があったのではないか? 主よ」
『あ、あぁ……。あの時はああいったものの、確かにゾロが常に一緒、と言うのは頂けなかったかもしれないな。よく考えてみたら、いや考えなくても判る。無用な混乱や争いを生みかねない』
「ふむ。我らもここ数年で奇怪な存在になったものだ」
『仕様がないだろ。あれだけやってれば。比喩でもなく人類の光と呼ばれてるんだ。魔王を止める、魔人を追い払う、そんな真似すれば』
今までの自身の行動。
思い返せば、あの日から、全てが変わった。
英雄の1人ユーリ・ローランドの不在。
人類の勝利を祝う席での悲劇。
先代魔王リトルプリンセス、来水美樹の魔王化。
人類の英雄の1人ランスが魔王化。
あれらの全てが切っ掛けに過ぎなかったのかもしれない。
否、全て読まれていた可能性だって否定できない。魔王化の限界点。抗い続けていても、何れは力に呑まれる事を判っていない訳が無いからだ。
希望から一気に絶望へと突き落とされる。それを遠くで眺め続ける。
そんな悪趣味極まりない光景が目に浮かぶ。
『………止めれた、かもしれないか』
「いや、あれが最善だ。ああしていなければ、ならなかった。あの時の行動が今の世界を生んだ。……そして、判っているだろう? その物語の結末を」
『………ああ』
「確かに傷を負っただろう。あの日は等しく全ての者達が。深い深い傷を。………だが、その全てはあるべき姿へと変えてゆく。今は、そのあるべき到達点へと向かうだけだ。……我々は その日の為に行動をしている。そうだったであろう?」
『そうだったな。……悪い。お前にはいつもいつも世話になりっぱなしだ。オレもいい加減大人にならないといけないと言うのに』
「……我は、主の父親にも頼まれているのだ。その時まで、主の傍にい続けると。そして、我は……、私はお前の一部となった。自分自身に何を遠慮する必要がある?」
『判っていてもそう思い、言ってしまうのが人間なんだって』
「ふふ。良いもの、だな。人と言うのは……」
そして 丁度アメージング城が見えてくる所まで飛翔した時の事だった
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