153 面会(かおあわせ)
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藤木は控室に戻ると、瓜原が出迎えた。
「驚いたで。君の演技。本当にわいを超えるなんて・・・」
「いやあ、まあ、僕にはこのスケート以外取り柄がないからね・・・」
藤木は照れた。その時、住吉が近寄ってきた。
「ふん、おんどれら、調子に乗りおって!!」
「住吉さん・・・。で、でも住吉さんも今三位じゃないですか!結果次第ではきっと銅賞獲れますよ!」
「そんなんやない!なんでわいはおんどれらより下なんが気に食わんのや!生意気な!!」
「もうやめてください!結果は仕方ありまへん!それにわいらも住吉さんの演技も凄い思うてました!!」
「それ、お世辞か!?」
「お世辞ちゃいます!本心です!!」
「ほう!それだけワイを馬鹿にしとるんやな!」
住吉は二人に殴りかかろうとした。藤木と瓜原は逃げようと思い控室を飛び出した。住吉が追いかける。その時、一人の女子が住吉を止めようとした。
「ちょっと、何して?の!?」
「なんや、ワイはこいつらが上の点やったさかい気に食わんのや!」
「だか?ってそんな事で追い回すなんてアンタは最低よ!気が小さいわね!!」
「何やて!?お前何様や!?わいは六年生や!!」
「そ?はこっちの台詞よ!私だって六年よ!!負けな?潔く認めなさい!」
「ふん!クソったれが!!」
住吉は控室に戻った。藤木と瓜原は自分を庇ってくれたその六年生の女子に礼をした。
「あ、ありがとうございます。僕達を庇ってくれて・・・」
「いいのよ、君達凄い演技だったわ。そ?そ?私も本気出すわ・・・」
「・・・え?」
「私は?ハーサルではわざと地味な演技をしていたけど、あ?が本気じゃないのよ。どんなのか後で見ててね。一番最後だか?」
その女子は控室に戻った。
「あの人一番最後ってゆうたわな・・・」
「うん、女子の最後って確か北海道代表の金賞だったね」
藤木はその女子を思い出した。彼女は北海道大会の金賞者・有子真羽。リハーサルの時はこれといった凄い演技がなかった。
(もしかしたら古宮さんや美葡ちゃん、黄花さんよりも凄い演技を見せるかも・・・)
藤木は有子の存在が女子の部の大会を大きく狂わすのではないかと予想した。
二人は住吉に近づかないよう用心して控室に戻った。その時、山形県から来た東北大会の金賞者・豆尾亮吾が滑っていた。彼の演技は凄かった。リハーサルで見せていた四回転ルッツや佐野以上の高速スピンを披露していた。そして締めは何と四回転アクセルだった。それも失敗することなく綺麗に決まっていた。
「す、凄い!僕達よりも決まっている・・・」
「ああ、せやな・・・」
藤木も瓜原もお手上げだった。豆尾が滑り終わり、得点が出された。なんと166.59。藤木や瓜原よりもずっと高かった。
(豆尾って人、凄い・・・
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