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繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ
02.生前手記
生前手記‐水城涙‐
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あるらしい。
黒猫の本部と言うのは頭領とその補佐、そしてその3つの派閥を纏める首領、ボスで作られているらしい。
貴女に教えられるのは初めてだったから、なんだか変な感じだった。
彼奴は「二つの組織を丸ごと自分達で支配した」と言ってから、ずっと人だけ支配していたのだと思っていた。
だが、まさか組織の名前ごととは。
ずっと彼奴は「幹部」だと思っていたから、
「頭領」となると驚くしかなかった。
獅子と狼の頭領は、きっとあの二人だ。
彼奴の写真に写っていた、あの二人。

4月29日
今日、彼奴が任務に出掛けて行った。
それだけなら彼奴にとっては日常茶飯事だろう。
が、今回は「超」がつく程の危険な任務と言われていて、
朝から構成員達が噂していた。
それを知らなかった俺と貴女は、
ただただ彼奴の執務室で、彼奴の帰りを待っているだけだった。
だが、その心配も無駄だったようで、
彼奴はいつものようにへらへら笑いながら帰って来た。
「たっだいま〜」と、無駄に上機嫌で。
その後、飲みに行ってくる!と言って、外へ出て行こうとした彼奴を、貴女はすぐに止めたんだ。
「怪我をしている」と。
彼奴が上に羽織っていた外套を脱ぐと、
確かにシャツが紅く染まっている部分があった。
彼奴が怪我をして帰って来るのは久しぶりで、
貴女は急いで治療をしていた。
本当に優しい人だ。
そして、彼奴は嘘吐きだ。

6月2日
俺と彼奴は能力の無い貴女を気遣って、書類整理や事務作業を回した
俺と彼奴の任務の報告書を纏めて提出するのも、貴女の仕事になった
いくら危ない仕事であっても、俺は必ずこの執務室に帰って来た
怪我を沢山負って、またそれを治療するのは貴女
貴女の綺麗な指に触れられるのは少しくすぐったくて、とても慣れそうにない。
彼奴もそうだったのかな
何も思っていなかったのだろうが、俺の事を感じていてくれたのだろうか?
彼奴の温もりを、まだ忘れる事が出来なかった。

7月7日
その日、七夕だという事を思い出し、彼奴が用意した笹の葉を見に行く。
そこには既に彼奴と貴女の短冊が飾ってあったから、俺も飾ってみたんだ。
俺には似合わない事だとは思ったが、願いが叶うのなら悪くは無いかもしれない

8月7日
今日程幸せな日は二度と来ないと思った
俺は、貴女の事が好きだと言った
そしたら、貴女はその場に泣き崩れて、ここに入る前からずっと、好きだったと言った
そうしたら俺は自然と貴女の事を抱き締めて、泣いてた
貴女の温もりを直で感じたのは初めてだった
宙の恋人、だなんて
ああもう、この文を書くだけで、ニヤけが止まらない。彼奴が居なくて助かった
きっと今日は寝れないな

9月18日
初めて、彼奴が俺と貴女の二人での任務を
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