02.生前手記
生前手記‐水城涙‐
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たけど失敗したようなものだった
彼奴は流石と言うべきか、無傷だったけれど、俺はかなりの重傷だった
俺は初任務の部下を庇って、敵の銃弾を体に入れた。これもまた彼奴と同じ
あの人が自分のせいで傷を負ってしまった、と責任を感じた部下は、その場でこめかみに銃を当てて死んだ。あの時と同じ
他の人達も、今日は沢山死んでしまった。同じ
朝、偉そうにしていた貴女の先輩も、余裕こいていた貴女の同期も
皆死んでしまった。あの時と同じ
だが、今度は彼奴は能力を使わなかった
これだけは前とは違った
帰りの車で、俺は彼奴の隣でずっと泣いてた
貴女が見ているのにも関わらず
すまない
1月15日
今日、貴女は、初めて単独の任務を任された
人並み以上の努力を重ねて、寝る間も惜しんで必死に座学に励んだ生活を続けていたら
自然に実績は上がっていって
貴女はまだ入って間もないのに、上級構成員になっていた
貴女は勿論部下だけど、やっと話せるようになった
任務に向かう途中、廊下で貴女に会って
そうしたら俺は
「すまない」
って一言
貴女の両肩に手を置いて、謝った
『お気遣いありがとうございます
御心配をお掛けし、申し訳ございません
ありがとうございます』
って。優しいじゃないか
彼奴より、きっと貴女の方が優しいよ
1月16日
朝から何度も貴女の携帯に電話をかけても、貴女が出ることはなかった。
だから、貴女の部屋に行ったら、貴女は汗だくになって、布団に丸まって閉じこもっていた。
俺は貴女を抱き締めることしか出来なかった
「すまない」って、ずっと謝りながら
4月23日
今日は朝から黒猫が大騒ぎだった
彼奴が大怪我をして拠点に戻って来たんだ。
腕の肘から下の部分が無くなっていて、脇腹や脚に銃弾が貫通した痕もあった。眼球も一つ失われていたらしい。
俺は彼奴の補佐だったから、すぐに医務室に向かった。
それでも医務室にはボスと、あと二人、写真に写っていた、知らない男性が心配そうに彼奴の顔を覗いていた。
それを見て、良かったと言った。
それからしばらく書き連ねてある日記のページをパラパラと捲り、3冊目を手に取った
3月13日
今日、貴女が同じ立場になった
貴女が正式に黒猫に入ってから約4年、能力がない貴女は最下級構成員からここまでのし上がってきた
俺はにっこり笑って
「待ってた」って
また彼奴の真似だ。
もう彼奴の真似は止めにしよう。
貴女に見せるのは自分でいいのだ。
3月31日
今日、初めて貴女が俺に教えてくれた。
もちろんビックリした。だって、彼奴は、本当は「幹部」じゃなくて、「頭領」だったんだから。
黒猫には彼奴が統べている、俺と貴女が所属している「猫」以外に、「獅子」と、「狼」が
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