02.生前手記
生前手記‐水城涙‐
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不思議と涙がでてきて
情けなかった
辛いのは彼奴の方なのに
6月12日
今度は「どうして俺達を助けてくれたのか」と聞いた
ただ人数が足りなかっただけなら、敵組織を丸ごと自分の支配下に入れてしまえばいい。
彼奴はまた違う答えを言った。
彼奴等もここにいるけど、
黒猫に拾われたのは自分だけだった。
二人は自分を力尽くで取り返すつもりだったんだろうけど、
二人とも別々の組織の長となって、
その組織を使って黒猫を襲撃してきた。
その結果構成員の殆どが死んで、人が不足した。
最終的に、その抗争は首領と自分で収めて、
その二つの組織を丸ごと自分達で支配して、
黒猫の一員として現在も使っている。
だけど、信頼できる部下が居なくなって、
それでつまらなくなったから人を探していた
そしたら俺達を貧民街で見つけて、
そのまま保護してみた。
中りだったみたいだね
彼奴はまた笑った
俺の頭をくしゃくしゃと撫でながら。
辛いことを痩せ我慢している様子も無かった。
きっと乗り越えたんだろう。
嗚呼、俺にもそんな強さが欲しいな。
それからしばらく書き連ねてある日記のページをパラパラと捲り、2冊目を手に取った
3月1日
今日、貴方の補佐になった
俺が正式に黒猫に入ってから約4年、彼奴の御陰で能力も使えるようになった
彼奴はにっこり笑って「待ってたよ」って
何時の間にか彼奴のその言葉が聞きたくなっていて
やっと、やっと彼奴の傍に居られる
彼奴が優しく微笑みかけてくれるから、あまりにも嬉しくて彼奴の前で泣いてしまった
でも、この地位まで上り詰めるまで沢山の人を殺した
始めは中々人を殺せなくて、初めて人を殺した夜はずっと泣いていた
今ではもう、人を殺すのさえなんの躊躇いもなくなってしまった
この地位に比例するように、俺は沢山の人を殺した
3月15日
「俺、沢山人殺してるだろ?……それでもいいのか?」
思い切って聞いてみた。そしたら
「え、阿呆なの?」
だって。とことんムカつくな。
「君、何人殺した?」
前、報告書を見て確認してみたら
64人
「大丈夫。私の方がまだ上だよ」
ムカつく彼奴はドヤ顔をしながらこっちを見てくる
興味本位で彼奴にも聞いてみた。
そしたら
「軽く1000は超えるね!」
でも、そういえば彼奴は
白猫の時代でも
黒猫の時代でも
ずっと殺しをやってきている
彼奴は産まれた時から白猫にいて、
白猫から抜け出して、黒猫に拾われるまでの間も
殺しをやってきたと言った。
それを考えるともう意識が遠くなっていく。
でも彼奴だってそんな事を考えた時があると言った
彼奴でもそんな事を悩んだ時期があったんだな
彼奴だって一人の人間なんだからな。
6月2日
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