02.生前手記
生前手記‐水城涙‐
[5/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
読んでみたら、それは悲しい本だった
主人公の恋人が敵に呪いをかけられ、死んでしまうという話。
そしたら、彼奴は背伸びをして俺の頭を撫で、「任務頑張ってね」と言って部屋を出て行った。
彼奴の部屋に俺だけが残された
初めて彼奴の部屋で一人になったから、興味が沸いて色々探してみたんだ。
机の中にはやはり沢山の書類が詰まっていた。
だが、一つ気になる物があった。
二葉の写真だった。
一葉は、白い外套を着た夫婦と兄妹が笑顔で映っている写真。
一葉は、ぼろぼろの服を着た少年二人と少女一人が笑顔で酒の入ったグラスを持っている写真。
この二葉の写真が心に残った。
11月16日
こんなに辛いなんて、知らなかった
任務で、俺は敵組織の構成員に見つかってしまい
情報を盗んでこればいいだけなのに、銃撃戦になって
俺は銃弾を受けてしまったのだという。
医務室で目覚めた時、彼奴が一番最初に俺のところに来て、手を握って泣いていた
「ごめんね」と叫びながら
彼奴のせいじゃないのに、俺のせいなのに
彼奴はずっと泣いていた。
やっぱり、ムカつく程優しい奴だ
だが、きっとボスはこんな俺を許してはくれない
きっとこのまま、処分されるんだろうな
自然と溢れてくる涙を隠すように、俺は彼奴を抱き締める
彼奴を慰めるためと、俺が助けを求めるために
そしたら、彼奴は嫌な顔一つせず、俺を抱き締めてくれた
やっぱり彼奴には敵わない。
俺は彼奴を守りたい。
初めてそう思った
5月3日
まだ少し怖かったけど、思い切って聞いてみた
「ここにいる本当の理由を教えて」と
そうしたら、彼奴は二葉の写真を取り出した
単独任務の前日に見たものだった。
その写真を見ながら、彼奴は言った。
元々は白猫に所属していて、其処でも幹部をやっていた。
だが、両親が上の指示により敵拠点を襲ったが、当時長をやっていた奴に勝てる訳も無く無駄死に。
元々自分は『出来損ない』と言われていて、味方をしてくれる人物が居なくなったため、幹部の座を引き摺り下ろされる。
そして、同じような立場になった奴と共に組織を抜け出してきた。
だが、そいつが白猫に見つかり、自分も助けに行ったが結局捕まって、最終的にはもう一人が助けてくれたが
最初に捕まった奴と助けに来た奴が死に、
自分だけが生き残った。
其処を首領に拾われ、
恩返しの為にここにいるのだ。
全員して白い外套を着た家族の写真が、
彼奴が白猫に居た時の写真で、
映っている夫婦が母親と父親、
兄妹が彼奴と、その兄。
ぼろぼろの服を着ているのが、
彼奴が黒猫に入るきっかけになった二人と、
彼奴。
今、彼奴はその二葉の写真が宝物なのだという。
だけど、彼奴はそれを俺に渡した。
何故だかはわからない
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ