02.生前手記
生前手記‐水城涙‐
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俺より全然年上の男ばかりだから、指示を出すのに躊躇いがあった。
先輩らしい事なんて一つも言えなくて、部下への接し方をよくわかってる彼奴が少しムカついた
今回が初任務の人もちらほらいた
そんな不安でいっぱいの部下達に、彼奴は励ましの言葉をかけていた
やっぱり彼奴はムカつく程優しいな
任務は、成功したけど失敗したようなものだった
俺は大丈夫だったが、彼奴はかなりの重傷だった
彼奴は初任務の部下を庇って、敵の銃弾を受けたのだ
幹部が自分のせいで傷を負ってしまった、と責任を感じた部下は、その場でこめかみに銃を当てて死んだ
他の人達も、今日は沢山死んでしまった
朝、偉そうにしていた先輩も、余裕こいていた同期も
皆死んでしまった
だが、その後彼奴は何をしたと思う?
能力を使って、そいつらを全員蘇らせたんだ。能力によって
「生きてその罪を償え」とか、ムカつく言葉を言いやがったが、俺は彼奴がかっこいいと思った。
彼奴が羨ましくなった。
6月1日
今日俺は彼奴に思っていたことを全て聞いてみた。
「どうして俺達を助けてくれたのか」
「どうしてここにいるのか」
「どうしたらそんな強くなれるのか」
そうしたら、彼奴は腹を抱えて笑いやがった。
本当にムカつく奴だ。
だけど、彼奴はその後
「丁度人が必要だった」
「なんとなく」
「頑張って訓練する」
って答えた。
何と言うか雑な回答だったけど、
彼奴らしいといえば彼奴らしい。
きっと、他にも理由がある
だけど、それは今聞くべきではないと思った
聞いたら彼奴が俺から離れてしまいそうで、
俺を捨てそうで怖かったから
またいつか、
彼奴が本当に俺の事を信頼していると分かってから
聞いてみよう
彼奴はきっと素直に答えてくれるだろう。
8月17日
能力の訓練も何回かして、
上手く能力を使えるようにもなってきた。
俺の能力では
範囲内の重力を自在に操る事が出来るらしい
だから、重力を主軸とした戦闘を教わっている。
それに、訓練を積む内に
重力操作のできる範囲も増えてきた。
だけど、それでも彼奴は……
重力と戦っている訳なのに、それでも勝ってしまう。
もう彼奴、人間じゃないだろ
最近そう思い始めた。
重力に勝てる人間なんているのか?
もう彼奴は常識を忘れている。
常識の域を超している。
……彼奴、何なんだろうな
11月15日
【初単独任務】
今日は、初めて単独の任務を任された
人並み以上の努力を重ねていたら
自然に実績は上がっていって
俺は上級構成員になれた
もしかしたら全て彼奴が仕組んだことかもしれないが、それでも嬉しかった。
今日彼奴の部屋に行ってみたら、彼奴は俺に一冊の本をくれた。
「おめでとう」と言って
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