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繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ
02.生前手記
生前手記‐水城涙‐
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だって大切だ。
だけど、もっと大切だった人が居た気がするんだ。
ずっとずっと、運命を共にしてきた仲間が。
もう分からない。
何が大切なのかすら。
嗚呼、躰の動かし方が分からなくなってきた。
自殺の仕方も。って、あれ?自殺ってなんだ?
もう何もかも分からないね。
彼女もこんな気分だったのだね。
辛いというか、もうどうでもいいって感じだ。
君は最後まで日記を書き続ける事は無かった。
彼女の記憶が無くなり始めてから、君は日記を書かなくなった。
だから、もう彼女の事が分からないだろう?
人間というのはそう言うものだ。
すぐに大切な事を忘れる。
大切な事程忘れる。
もう、呼吸の仕方が分からない。って、あれ?呼吸ってなんだ?
あはは。もう何も、何も分からない。
躰の動かし方も、言葉の作り方も、何もかも、全て、すべて……
って、あれ?死ねない。というか記憶が全て戻っている?
……全く、大切な事が既に無いとこんな事になるのか。
まったく、つまらない能力だ。
もう、大変よ、この世界も!
全てすべて、無くなった方が楽だと思うくらいね!!

「ん?どうしたどうした」
「まぁた寝てるんですか」
鬼面を被っている為良く見えないが、顔を歪めているであろう軍服を着た少年が言う。
「寝てない?」
「いや、思いっきり寝てましたから……で、また自殺についてですか?」
少年は丁度いいくらいに冷めた紅茶を静かに啜る。
「半分正解半分不正解。私が考えているのは自殺じゃなくて、自殺した人の思考」
「やっぱり変な人ですよね、貴女」
「いやぁそれ程でも?」私は照れながら紅茶を啜る。
「いや、褒めてませんし」少年はすかさず突っ込む。
嗚呼、こんな日がいつまでも続けばいいのに。


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