02.生前手記
生前手記‐水城涙‐
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えた
俺に向けて、だれ、と
俺の事なんか、思い出さなくていい
全てを忘れても
また俺が全てを教えてやるから
だから貴女はそこで寝ておけばいい
俺がどれだけ大切にしてきたと思っているんだ
ずっと、俺の隣で生きていて欲しかった
貴女の記憶の中から俺が消えても、俺はこの先貴女の事だけは忘れない
愛しい、俺の花嫁だから
本当は、言われなくたって気づいてたのに
もうすぐ、いなくなってしまうこともわかってた
なんで俺は、見て見ぬふりをしていた
なんで傍にいてやらなかった
こんなに貴女は必死に生きようとしていたのに
俺は貴女がずっと書き続けていた日記の一番最後のページに自分の名前を書いた。
8月7日
もう誰も居ない。
何時の間にか、ここにいるのは俺と彼奴だけ。
多かった部下も全て消え、ずっと共に居た仲間達も何時の間にか消えていて
全てが消えていた。
今日は俺が消える日だ。
貴女は今どこに居ますか?
死んだらすぐに会いに行きます。
俺の事を思い出していてくれますよね?
貴女の事は今でも愛しています。
世界で一番、誰よりもあなたを愛しています。
どうか、もう一度会いたい。
もう一度、貴女に会わせて下さい。
そして、一緒にいろんなところに行こう。
愛していま
いつだって君は彼女の事を考えていたね。
私は君達を拾って、一生懸命育ててあげた。
君が私の元から去っていくときはさびしかったよ。だけど、彼女の元へなら行って良いと思った。
親でもないのに、変だね。
君は最後の最後まで彼女の事を愛していた。
それに、願いだって叶ったではないか。
「宙と共に居る」素敵な願いだ。
そして、君達は本当に似たもの同士だね。
君達が取った行動は全て同じ。
能力の有無に関わらず、君達は同じ行動をしていた。
君達は生まれたその瞬間から結ばれる運命だったのだろうね。
最後だって同じだった。
私が必死に事実改変を叫び続けると云うね。
ふふ、死に際まで同じ運命を辿るのか。
まぁ、君は呪いで死んだ訳ではないけど。
彼女には悪い事をしたね。
折角彼に気持ちを伝えて、彼を生かすことが出来たのに、私が殺してしまった。
それだけでは無いね。
もう、君達が運命を共にした仲間も、獅子と狼達も、全て、全て、私が殺してしまった。
もう嫌になって来るね。
だから今日も自殺だ。
今日は君達が初めて出会った、記念の日だ。
そうだね、記念の日には特別な事をしたいよね。
嗚呼、そうだ。
今日は彼女と同じ死に方を試してみよう。
記憶の呪い―――
でも、駄目だった。
もう私に大切な人なんていない。
もう、大切な人の事なんて既に忘れてしまっているのかもしれない。
もう、大切な人が誰なのかすら分からない。
勿論君達
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