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繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ
02.生前手記
生前手記‐七星宙‐
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料理も、作れなくなって
パソコンも、使えなくなって
足の指の動かし方がわからなくなった
日に日に、忘れる個数が増していく私を、貴方はそれでも忘れた分だけ教えてくれた
嬉しいけど、でも
でも、それが……私には辛くて
貴方の補佐なのに…、わたしが、貴方に助けられて………
わたしは、貴方にとって本当に必要な存在なの……かな……?
また琴葉さんに聞いてみた。
不思議と琴葉さんの事は一つも忘れていないのだ。
そしたら、琴葉さんは
「宙ちゃんは涙にとっても、私にとっても、大切で、大切で、仕方ないんだ」
そう言ってくれた。
いつだって私は琴葉さんに頼ってばかりだった。

?
忘れていくのは、物事だけじゃなくなった
体の動かし方が、どんどんわからなくなっていく
始めは足の指から、そして今では足の動かし方がわからなくなってしまった
足は動くのに、自分の力で動かす事ができなくなってしまった
もう立ち上がれなくなってしまった私のために、貴方は色んなことを手伝ってくれた
ご飯も作ってくれたし、仕事もできる限りの事を回してくれた
せめて、仕事くらいはしたいと私が貴方にお願いしたら貴方は優しいからすぐにくれた
動かない足を見つめてもどうにもならないのに、足はあるのに悲しくて仕方がないんだ
また貴方と一緒に、沢山行きたかった場所に行きたかったな
ごめんなさい

?
今日、貴方との思い出を、失った
貴方と一緒に行った場所も、初めての夜も、私達がどうやって付き合ったのかも
それでもまだ、貴方が私の恋人だっていうことは覚えているんだよ
もう貴方に忘れた事を伝えるのは、やめにした
私が貴方に伝えれば伝える程、あの異能力者を殺した自分を恨み続けていたのは知ってた
私はそれに気づいていたのに、貴方にずっと、伝えてた
貴方に心配して欲しかったからなのかな、もうわからない
貴方との事を忘れたのはこれが初めてだったから
まだ、まだ死ぬのは早いのに

?
今日、かんじがかけなくなった
かんたんなものしか出てこなくなった
もうこんなんじゃ、仕事もできない
自分の名前も、かんじでかけない
あなたの名前も、かんじでかけない
かけないし、よめない
まだ、みずきるい、っておぼえてるよ
あなたの名前はかけなくても、しっかりおぼえてる
まだ、私のきおくの中にあなたはいるから
まだ、しなないよ
でも
だんだん、しに近づいてるのは自分でもきづいてた
たすけて、琴葉さん
まだあなたのことはひとつもわすれていないんだよ
わすれるまえに、たすけてください

?
今日、へやに入ってきたあなたの名前をいっしゅんだけわすれた
この日記を見ておもいだした
だいすきな、あなたの名前をわたしは、わすれていた
ごめんなさい、ご
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