暁 〜小説投稿サイト〜
繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ
02.生前手記
生前手記‐七星宙‐
[7/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

と言っても私は後ろからの司令塔だから直接手を下す事は無い
でも、思うの
私の下した判断で、仲間を殺してしまったら
こんな危険な任務だと言われているのに、私に司令塔なんて務まるのかな

?
目が覚めたら、貴方が、泣いていた
ベッドに寝かされていて、頭が酷く傷んだ
起きた私を見つけるなり、貴方は痛い程私を抱き締めて、「よかった」って
そして、貴方に、全てを聞いた
私はあの日、敵から回り込まれていたのに気づかなくて、背後から攻撃された
そうして私は、敵の異能力者に、
死んでしまう運命を課せられたらしい
私にかけられた異能は、どうやら呪いのようなもので
段々、記憶が消えていくらしい
そして一番大切な人の存在を忘れた時、息を引き取るのだそう
私にかけられた呪いを解く方法は今のところ無いらしい。数ヶ月前入った新人の能力を使えば可能性はあったらしいが、能力者を貴方が怒りに任せて殺してしまったらしいのだ。
能力をかけた能力者が死んでも効力が続いているこの呪いは、もうどうしようもないらしい。
そこで、珍しく
「何か……何かできないのか?」
琴葉さんが声を荒げていた。
「……そうだ、千尋? 千尋の能力でどうにかならないの!?」
ぽたり、ぽたりと音が響く。
それは琴葉さんの目から零れる涙の音だった。
どうして泣いているの?
私は絶対に助からないの?

?
それからは、毎日が、つまらなくなった
貴方は私に仕事を回してくれたけど、呪いの進行はあまりにも速かった
仕事の書類を片付けている最中、貴方が差し出してくれた茶色い飲みものの名前がわからなくなった
「あの、これ、って……?」
「………これは、珈琲だ」
ああそうだ、珈琲だ
私の大好きな飲みものを私は、忘れてしまった
それがあまりにもショックで、貴方が出て行った後、沢山泣いた
あの日からそんなに経っていないのに、なんで
なんで、忘れちゃうの?
なんで

?
次に私が忘れたのは、自分の仕事の事だった
自分が黒猫の「猫」に所属しているのはまだ覚えていて、そして貴方と共に、琴葉さんの頭領補佐なのも覚えている
でも、今日書類を渡しに来てくれた部下の名前がどうしても思い出せなかった
知らない人だと思ったから、名前を聞いたら部下は悲しそうに自分の名前と私の部下であることを教えてくれた
悲しい顔をする部下に、「ごめんね」しか言えなかった
それから、自組織のボスの名前も忘れていた
それは書類整理中に発覚した
ボスの名前を代筆する部分があったのに、どうしてもそれが書けなかった
貴方にそれを渡したら、優しく
「ボスの名前は……」
また一つ私は大切な事を忘れていた

?
今日が、何日かもわからなくなった
それから、自分の好物がわからなくなって

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ