02.生前手記
生前手記‐七星宙‐
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ができた
先輩らしい事なんて一つも言えなくて、部下への接し方をよくわかってる貴方が少し羨ましかった
今回が初任務の人もちらほらいた
そんな不安でいっぱいの部下達に、貴方は励ましの言葉をかけていた
やっぱり貴方は優しいな
任務は、成功したけど失敗したようなものだった
黒華幹部は流石と言うべきか、無傷だったけれど、貴方はかなりの重傷だった
貴方は初任務の部下を庇って、敵の銃弾を体に入れた
あの人が自分のせいで傷を負ってしまった、と責任を感じた部下は、その場でこめかみに銃を当てて死んだ
他の人達も、今日は沢山死んでしまった
朝、偉そうにしていた先輩も、余裕こいていた同期も
皆死んでしまった
帰りの車で、貴方は黒華幹部の隣でずっと泣いてた
"俺の所為だ"って、貴方も責任を感じてた
そんなことないって、抱き締めたかったけど、今の私はそんな貴方を見守る事しかできない
ごめんなさい
1月15日
【初単独任務】
今日は、初めて単独の任務を任された
人並み以上の努力を重ねて、寝る間も惜しんで必死に座学に励んだ生活を続けていたら
自然に実績は上がっていって
私はまだ入って間もないのに、上級構成員になれたよ
貴方は勿論上司だけど、やっと話せるようになったよ
貴方と話したくて、貴方の声を私に向けて欲しくて、必死に頑張って
貴方ともっと身近にいたくて、私が貴方を支えてあげたいって思ったから、ここまで頑張れたよ
貴方は、私の頑張りに気づいてくれているかな
それとも、まだ全然足りないって思ってるのかな
任務に向かう途中、廊下で貴方に会って
そうしたら貴方は
「すまない」
って一言
私の両肩に手を置いて、謝った
『お気遣いありがとうございます
御心配をお掛けし、申し訳ございません
ありがとうございます』
って、私もらしくない事言っちゃって
私の事なんて、気にしないでいいんだよ
貴方ができない、色の仕事
貴方は私に同情してくれたんだね
本当はね
私の事、気にしてくれて、嬉しかったんだ
1月16日
こんなに辛いなんて、知らなかった
知らない男に、私が汚されて
わかってた筈なのに全然わかってなかった
本当はされる前に情報だけ盗って帰る心算だったのに
私の作戦も身柄も全部知っていて、全てを見透かされたまま……
思い出したくない
もう怖くて部屋から出られない
もう朝なのに、出勤しなきゃいけないのに
誰にも会いたくない
誰にも会えない
こんなの、だめなのに
こんなんじゃ生きていけないって
きっとボスはこんな私を許してはくれない。きっと黒華幹部だって。
きっとこのまま、処分されるんだろうな
でもそんな事より、体の震えが止まらなくて、着信がかかる携帯にも出られなくて
息ができなかった
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