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繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ
02.生前手記
生前手記‐七星宙‐
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この際、何でもいい。
もう君も、彼も、君の弟も、可愛らしい双子の姉妹も、生意気な餓鬼も、気弱な新人も殺してしまった。
運命を共にした、獅子の頭領も、狼の頭領も、私達の首領も殺してしまった。
最後の家族である兄も、全て、全て、殺してしまった私はどうすればいい?
誰か、助けてくれないか?
誰か、救済の手を差し伸べてはくれないか?
………さて、今日はどうしようか。
また川にでも行って、入水でもしようか。
それとも、山に行って、山道に生える毒キノコでも食べてみようか。
嗚呼、いっその事両方してしまおう。
ふふ、また首領に怒られてしまいそうだね。
その時は一緒に首領の執務室に着いてきてくれるかい?
大切な私の部下、七星宙。
私は君の事を忘れない。最後まで君が私の事を忘れなかったように。
そして、私を助けてくれないかい?
この何もない夢から私を目覚めさせてくれないかい?

溶けた鉄がボコボコと音を立てて煮え滾っている。
私は迷わず歩を進め、そして―――
躰が宙に浮く。
熱風が下から押し寄せる。
が。
「……全く、毎回毎回助けるのも面倒なんですからね?」
何時もの通り、軍服を身に纏う少年が私の腕を掴み、通路に引き戻す。
「どうして君は私の自殺を毎回毎回邪魔するのかね?今日こそ死ねると思ったのに」
溜息を吐きながら、服に付いた埃を払う。
「当たり前じゃないですか。貴女は僕達の軍の長なんですから」

君がこの場所に居るなら、今の私を見て笑ってくれたかい?
君が死ぬまで愛し続けた彼と共に、笑ってくれるかい?
もう私は疲れた。
今日も自殺は失敗した。
この罪人に罰を与えるのは神か、それとも悪魔か?
どちらでもいい。君でもいい。
誰かが私を罰してくれれば、きっと私は自由になる。
罪の鳥籠から出ることが出来る。
今日で君の死から丁度十年だ。
何か、欲しいものはあるかい?
大切な私の部下、七星宙。


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