セランVSライナ 前編
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動き始めた。
しかし、間に合わない。
現場でも、そしてシミュレーションであってもそれは同じだ。
魔法何て存在するわけがない。
動き始めてからの距離を考えれば、おそらく防衛施設が落とされた後の合流となる。
根性を出せば間に合わせられると思うのは、よほどの馬鹿か戦争を知らない人間だけだ。
だから、セランも十分理解していた。
「全艦隊防御施設Cは諦める。Cの後方にて敵艦隊を包囲殲滅する」
移動しながら、各艦隊に動きを指示。
セラン達の艦隊は、右前方――セランの指示した防御施設Cごと、クローラーの艦隊を包囲するように動き始めた。
しかし。
赤の艦隊は疾走する。
防御施設Cの脇をかすめるようにして動き、そして駆け抜けた。
形ばかりの防御施設の攻撃が、クローラーの艦隊を削る。
だが、止まらない。
速度をそのままに駆け抜けていく。
それは。
「運頼みもいいところだろ。ここで電撃戦かよ」
驚きを含み、苦い顔でアッテンボローが呟いた。
+ + +
攻略/防衛線における勝利条件。
その一つが、敵の本拠地の攻略だ。
クローラー艦隊は、まさにそれだけを目的に疾走している。
防御施設を無視するという行動に、防御施設を取り囲もうとしていたセランの艦隊は大きく出遅れた。
まず、四学年は防御施設Cを迂回して包囲しようとしていたため、結果として進むクローラー艦隊を後方から追う形となっている。三学年も同様に、包囲のために右側に進路をとりすぎた。疾走する艦隊はその前をあざ笑うようにすり抜けていった。
逆側に配備されていた二学年は、間に合わず。
結果として。
残されたのは中央に配備していたセランの五千と一学年の千艦隊――合計、六千だ。
対するは全艦隊が一丸となった結果、姿を見せる一万五千もの倍を超える艦隊。
少し耐えれば、後方から包囲するために味方が来るであろう。
だが。
「これ、持ちこたえられるかな」
疾走する勢いをそのままに、青色の光点に、赤の艦隊が突っ込んだ。
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