暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
セランVSライナ 前編
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
動き始めた。
 しかし、間に合わない。

 現場でも、そしてシミュレーションであってもそれは同じだ。
 魔法何て存在するわけがない。
 動き始めてからの距離を考えれば、おそらく防衛施設が落とされた後の合流となる。
 根性を出せば間に合わせられると思うのは、よほどの馬鹿か戦争を知らない人間だけだ。
 だから、セランも十分理解していた。

「全艦隊防御施設Cは諦める。Cの後方にて敵艦隊を包囲殲滅する」
 移動しながら、各艦隊に動きを指示。
 セラン達の艦隊は、右前方――セランの指示した防御施設Cごと、クローラーの艦隊を包囲するように動き始めた。
 しかし。

 赤の艦隊は疾走する。
 防御施設Cの脇をかすめるようにして動き、そして駆け抜けた。
 形ばかりの防御施設の攻撃が、クローラーの艦隊を削る。
 だが、止まらない。
 速度をそのままに駆け抜けていく。

 それは。
「運頼みもいいところだろ。ここで電撃戦かよ」
 驚きを含み、苦い顔でアッテンボローが呟いた。

 + + +  

 攻略/防衛線における勝利条件。
 その一つが、敵の本拠地の攻略だ。
 クローラー艦隊は、まさにそれだけを目的に疾走している。

 防御施設を無視するという行動に、防御施設を取り囲もうとしていたセランの艦隊は大きく出遅れた。
 まず、四学年は防御施設Cを迂回して包囲しようとしていたため、結果として進むクローラー艦隊を後方から追う形となっている。三学年も同様に、包囲のために右側に進路をとりすぎた。疾走する艦隊はその前をあざ笑うようにすり抜けていった。
 逆側に配備されていた二学年は、間に合わず。
 結果として。

 残されたのは中央に配備していたセランの五千と一学年の千艦隊――合計、六千だ。
 対するは全艦隊が一丸となった結果、姿を見せる一万五千もの倍を超える艦隊。
 少し耐えれば、後方から包囲するために味方が来るであろう。
 だが。
「これ、持ちこたえられるかな」

 疾走する勢いをそのままに、青色の光点に、赤の艦隊が突っ込んだ。


[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ