セランVSライナ 前編
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巨大スクリーンに映し出されているのは、全体の艦船の動きであり、その左右の小型スクリーンには、それぞれのチームから見た映像が映し出されていた。
左の画面は防御陣営をとるセランの青い艦隊マークであり、そこにクローラーの艦隊である赤色は映っていない。右の画面はその逆といった様子であった。
「定石ではあるな」
索敵範囲に映らないセランのチームは、ゆっくりと陣形を構築していく。
本拠地の前方であり、前方に突出している二か所の防衛施設の後方――つまり陣地の中央にセランの艦隊五千が配置され、前方の防衛施設の前に四学年の四千を配置。左右には三学年と二学年の二千の艦隊が広がり、セランの艦隊の後方では一学年が本拠地を守っている。どの防衛施設が攻撃となった場合でも速やかに移動し、戦闘行動に移ることができる陣形だ。陣形を構築していく一方で、セランのそれぞれの艦隊が索敵艦を放ち、次第に左側の画面で移される範囲が広がっていく。
一方でクローラーのチームは、ゆっくりとその陣形を整えていく。
全艦隊がまとまっていく様子から分散しての攻略は取らないらしい。
そして、動いた。
速い。
陣形を固めるや、クローラーの赤の艦隊が動いた。
本拠地前方二か所、その右側の防衛施設に対して斜めから迷うことなく疾走する。
いまだにセラン艦隊の陣形の構成途中だった。
「おいおい、賭けに出たな」
少しの驚きをもって声をあげたのはアッテンボローだ。
それには理由がある。
現在、クローラーが駆け抜ける場所から目指す防衛施設の間には、セランの艦隊の姿はない。だが、もしセランがそこに陣形を敷いていればどうなるか。
戦闘態勢ではなく、移動をする艦隊は確実に発見され、セランの艦隊によって先生の攻撃を受けることになる。
移動の態勢から戦闘の態勢に移すまでにも、時間がかかる。
それがたとえ少数であっても、一方的な攻撃はクローラー艦隊に大きな被害をもたらすだろう。
それも防衛施設の目の前で、だ。
そうなれば、もはや戦いどころではないだろう。
大きな被害を受けたのちに、他の艦隊に包囲殲滅をされることは間違いない。
それほどに、クローラーの選択した行動は一か八かの要素が強いものだった。
だからこそ、アッテンボローは賭けに出たと表現した。
だが、そう思っていない人物も数人いた。
「定石というのは間違ってはいないが、時として首を絞めることになるね」
「ここまで速いとは予想もしてなかったのだろう。ま、赤の方が一枚上手というところだろうな」
定石の陣形をとると読み、行動したクローラー艦隊。
時間をかければ、索敵艦に発見される可能性があがる。
わずかな迷いもない動きは見事といってもいいだろう。
もっとも。
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