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いたくないっ!
第十二章 魔法女子ほのか最終回 そして
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(ごう)。……古代に失われた技術のはずなのに」

 一歩、二歩、と後ずさるはるかであったが、ぶるぶるっと身体を震わせると、その顔に笑みを浮かべた。作り物めいている、強張った笑みを。

「お前ごときに扱える神魔融合ではない。どこで技の存在を知ったか知らないが、そんなハッタリに、このはるかが、恐れをなして退くとでも思ったかああっ!」

 はるかは絶叫しながら、地を蹴ってほのかへと飛び掛かっていた。
 その残像も消えぬうち、骨の砕けるような嫌な音と、地も裂けるような悲鳴が上がっていた。

 どさり地面に叩き付けられて、顔を苦痛に歪めているのは、はるかであった。彼女のまとっているダークシルバーを基調とした魔道着、その胸部が、ざっくり深くX字に切り裂かれていた。

「そ、そんな、そんなバカなあ! あたしがっ、神に等しい存在である、この、はるかがっ、お前ごときにっ、お前ごときにいいいい!」

 身を襲う激痛と、受け入れがたい現実とに、はるかは顔を醜く歪ませて、ばたんばたんとのたうち回っている。

 ほのかは、そんなはるかを、無表情に近い顔でただ見つめていた。
 やがて、そっと右腕を振った。
 ぬるーう、と融合が解除されて、巨大な斧が足元に落ちる。どおんと低く震える音とともに、斧が地面にめり込んだ。
 ほのかは、そっと目を閉じる。

「ティル トーグ ラ ローグ」

 小さく口を開いて、ささやくような呪文詠唱が始まった。

 地に倒れているはるかの、激痛と自尊心崩壊に醜く歪んでいる顔に、変化が起きた。表情の構成要素が追加された、といった方が正しいだろうか。
 加わった表情とは、驚愕、そして焦り、であった。

 手を、足を、動かそうと力を込めるダークシルバーの魔法女子であるが、四肢に枷をはめられて台にがっちり固定されているかのように、まったく動かすことが出来ないのである。

 呪詛の言葉を吐きわめきながら、腰を捻って必死にもがいているうちに、またその顔に変化が起きていた。
 今度は感情表情の追加ではなく増幅、読み取れる驚愕感情が桁違いに膨れ上がっていた。まぶたが張り裂けんばかりに見開かれていた。

 上空に輝いている太陽が、どんどん、大きくなっているのだ。

 当然だが太陽は遥か上空どころかまったく異なる天体。だというのに、まるで、すぐ頭上にあるかのように、どんどん、どんどん、それは大きく膨れ続けていた。いまにも落ちてきそうなほどに。

 はるかのダークシルバーの魔道着から、ぷちぷちという音がしていた。あまりの高熱に、耐えきれず焦げ始めているのだ。

 絶叫。
 耐え難い苦痛と、恐怖に、はるかは身を暴れさせながら絶叫していた。

 炎すらも溶かすほどの業火の中で、ほのかは、平然と立ってい
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