暁 〜小説投稿サイト〜
いたくないっ!
第十二章 魔法女子ほのか最終回 そして
[19/20]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ニメへと成長。

 単なる格闘アニメだろ、と揶揄する者もいるが、人気を否定する者は誰もおらず。

 世の熱狂ぶりは、まさに社会現象といって過言ではなかった。

 アニメ第二期が制作されるだけでなく、テレビゲームは発売間近、さらには劇場アニメ化も決定している。
 もはや完全に、定夫たちの手を離れた作品であった。

 だから昨日の声優イベントも、単なる一ファンとして楽しんだし、この書店でのフェアも然りである。

 もう関われない、ということが、寂しくないといえば嘘になる。
 だけど楽しみ、わくわくの方が、遥かに勝っている。

 そのわくわくを味わうのに、もう労力はいらない。黙っているだけで、プロの作り手と、大きなお友達が、勝手に大きく育て上げてくれるのだから。

 などと定夫が、現在と未来の興奮を肌と脳とにしみじみ感じていると、また自動ドアが開いて新たな客が入ってくる。

 バンダナに黒縁眼鏡の、肥満した二人組。トートバッグ肩に下げて。

 ほのか、はるか、のTシャツをそれぞれ着て(ボンレスハムのようなっており、キャラ判別が難しいが、おそらく)、定夫たちがいるほのかフェアの平積みコーナーへと寄ってきた。

「あざーーーーっす! おいあざーーーーーっす!」

 トゲリンが、マシンガンのごとき猛烈な勢いで、その二人組へと深く頭を下げまくっている。深くといってもお腹の脂肪がつっかえて、健常者ほどは下げられないのだが、可動限界まで深く。

 ボンレスハムの二人組だけでなく、他にも男性女性、学生社会人、オタっぽいの普通っぽいの、色々な人が足を止めて、本を手に取っている。

 定夫は、そうした様子をじっと見ている。
 胸の奥から湧き上がる、なんともいえない感情、なんとも分からぬままぞくぞくするような高揚感。
 来店時から、ずっとそんな気持ちに心身包まれていた。
 「魔法女子ほのか」がどんどん育ち、広がっていることに対して、
 興奮していた、
 ちょっとだけ、誇らしい気持ちになっていた。
 でも、誇らしく思ったとして誰がそれを責めようか。

 自分がいなければ、「魔法女子ほのか」は存在していなかったのだ。
 最近ヒット作を生み出せていなかった佐渡川書店の、株式がうなぎ登りの高騰を見せているらしいが、それもおれのおかげなのだ。

 日本を征服しそうな、ほのかの勢い、
 海外進出は間違いなく、そのまま爆進を続けて世界を熱狂の渦に巻き込めば、
 すなわち、世界制覇、世界征服、
 つまり、
 おれは、影の皇帝。
 株式市場にまで影響力を放つ、皇帝様だあ!

「カイザーーーーーーーーーーっ! せいっ、せいっ、せえええい!」

 つい我を忘れて右拳左拳を突き出し、世界へ轟けとばかりの絶叫を放っ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ