第十二章 魔法女子ほのか最終回 そして
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ニメへと成長。
単なる格闘アニメだろ、と揶揄する者もいるが、人気を否定する者は誰もおらず。
世の熱狂ぶりは、まさに社会現象といって過言ではなかった。
アニメ第二期が制作されるだけでなく、テレビゲームは発売間近、さらには劇場アニメ化も決定している。
もはや完全に、定夫たちの手を離れた作品であった。
だから昨日の声優イベントも、単なる一ファンとして楽しんだし、この書店でのフェアも然りである。
もう関われない、ということが、寂しくないといえば嘘になる。
だけど楽しみ、わくわくの方が、遥かに勝っている。
そのわくわくを味わうのに、もう労力はいらない。黙っているだけで、プロの作り手と、大きなお友達が、勝手に大きく育て上げてくれるのだから。
などと定夫が、現在と未来の興奮を肌と脳とにしみじみ感じていると、また自動ドアが開いて新たな客が入ってくる。
バンダナに黒縁眼鏡の、肥満した二人組。トートバッグ肩に下げて。
ほのか、はるか、のTシャツをそれぞれ着て(ボンレスハムのようなっており、キャラ判別が難しいが、おそらく)、定夫たちがいるほのかフェアの平積みコーナーへと寄ってきた。
「あざーーーーっす! おいあざーーーーーっす!」
トゲリンが、マシンガンのごとき猛烈な勢いで、その二人組へと深く頭を下げまくっている。深くといってもお腹の脂肪がつっかえて、健常者ほどは下げられないのだが、可動限界まで深く。
ボンレスハムの二人組だけでなく、他にも男性女性、学生社会人、オタっぽいの普通っぽいの、色々な人が足を止めて、本を手に取っている。
定夫は、そうした様子をじっと見ている。
胸の奥から湧き上がる、なんともいえない感情、なんとも分からぬままぞくぞくするような高揚感。
来店時から、ずっとそんな気持ちに心身包まれていた。
「魔法女子ほのか」がどんどん育ち、広がっていることに対して、
興奮していた、
ちょっとだけ、誇らしい気持ちになっていた。
でも、誇らしく思ったとして誰がそれを責めようか。
自分がいなければ、「魔法女子ほのか」は存在していなかったのだ。
最近ヒット作を生み出せていなかった佐渡川書店の、株式がうなぎ登りの高騰を見せているらしいが、それもおれのおかげなのだ。
日本を征服しそうな、ほのかの勢い、
海外進出は間違いなく、そのまま爆進を続けて世界を熱狂の渦に巻き込めば、
すなわち、世界制覇、世界征服、
つまり、
おれは、影の皇帝。
株式市場にまで影響力を放つ、皇帝様だあ!
「カイザーーーーーーーーーーっ! せいっ、せいっ、せえええい!」
つい我を忘れて右拳左拳を突き出し、世界へ轟けとばかりの絶叫を放っ
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