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いたくないっ!
第十二章 魔法女子ほのか最終回 そして
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わせてあげるよ。何度、別の肉体に入ろうと、片っ端から破壊してやるよ」

 柄に左手も添えると、凄まじい雄叫びを上げた。地を蹴って、ほのかへと飛び掛かっていた。

 消えていた。
 はるかの姿が。
 空気に溶けるように。

 ほのかは、仁王立ちのまま微動だにせず、少しだけ視線を上に向けた。

 上。
 はるかが、両手にした巨大な斧を、ぶんと振り下ろした。
 デスアックス、先ほどほのかの胴体をバターを切るよりたやすく両断してみせた魔装具を。

 だが、
 なにも、起こらなかった。

 破壊力が爆発を生むこともなければ、
 風が巻き起こることすらも、
 ましてや、ほのかの頭部や胴体が再び両断されることも。
 なにも、起こらなかった。

 斧の刃を、ほのかが受け止めていたのである。
 右腕一本。いや、人差し指と親指、たった二本の指で。

 宙から降り立ったはるかは、ちっと舌打ちすると、再びデスアックスを振り上げようと両腕に力を込める。

 だが、ほのかの二本の指に軽くつままれたように見える黒い斧は、そこにいかほどの力が加わっているのか、振れどもひねれども、引き抜くことが出来なかった。

 苛立つ声を上げて、両手に握った柄をさらにぶんぶん振って、なんとか奪い返すと、

「死ねえ!」

 はるかは両手に握った斧を、渾身の力を込め、ほのかの頭部へと振り下ろした。

 ほのかは、避けなかった。
 まだ肉体に馴染んでおらず反応出来なかったのか、理由は分からないが、分かっていることが一つ。

 直後、はるかの顔に浮かんだのが、喜悦の笑みではなく、驚愕の表情であったということ。

 握っていた柄が、折れたのである。
 ほのかの額に刃を叩きつけた、その瞬間に、ミリバキと音を立てて、見るもあっさりと。

 斧が、くるくる回り、どおんという重たい音とともに落ちた。どれほどの重さがあるのか、周囲の地面が粉々に砕け砂塵になって舞い上がった。

「あたしの……デスアックスが……」

 じいいんと襲うしびれに手を振りながら、唖然とした顔のはるか。ほのかが一歩踏み出したことに、すっと腕を上げて身構えた。

 二歩、三歩、ほのかは、地面に落ちた斧へと近寄ると、

「もう、終わりにしましょう」

 寂しそうな声、表情で、軽く屈み斧を拾った。

 いや、
 拾ったのではなかった。

 くっついていた。
 ほのかの右腕に、斧の刃が。
 皮膚と金属が、お互い溶け合うように。まるで、最初からそういう右腕であったかのように、ほのかの右腕から黒光りする巨大な斧が生えていたのである。

 信じられない光景に、はるかは、目を見開いて、ひっと息を飲んだ。

(しん)()|融《ゆう
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