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空に星が輝く様に
153部分:第十二話 夏に入りその四
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第十二話 夏に入りその四

 そしてその中でだ。部員の一人がこんな話をしてきた。
「何か中学校で突きする学校もあるってな」
「いや、それないだろ」
「禁止されてるだろ」
「いや、生徒の間ではしなくてもだ」
 それでもだというのだ。その生徒は話していく。
「顧問の先生がするんだってよ」
「顧問の?」
「先生が?」
「ああ、生徒にな」
 こう眉を顰めさせて言うのだった。
「するらしいぜ」
「おい、練習のメニューにないのをか?」
「しかも禁止されてる技をか?」
「先生がするのかよ」
「何だよ、それって」
 皆それを聞いて一斉に顔を顰めさせた。
「しかも中学生に突きってな」
「まずいだろ」
「待ってくれるか」
 ここで話を聞いた顧問の先生も来た。
「それは本当の話なんだろうな」
「はい、間違いありません」
 この話をはじめた一年生、陽太郎の同期もその白髪の先生に答える。
「実際にこの目で見ましたし」
「そうか。本当なんだな」
「しかもそれだけじゃないんですよ」
 彼は先生にさらに話す。
「他にも兎跳びやらせたり受身知らない生徒相手に床で背負い投げしたり」
「信じられないな」
 先生も唖然としていた。
「そこまでするか」
「そういう先生だったんですけれど」
「その教師の名前教えてくれるか」
 先生は真顔で彼に問うてきた。
「よかったらな」
「ええ。何でしたら担当の教科もどの中学校かも」
「御前の中学校だな」
「はい、そうです」
 まさにそうだというのだった。
「俺それを見て中学校では剣道は道場でしていました」
「ああ、それがいいよ」
「正解だったな」
 周りは彼のその判断とよしとした。
「そんな奴が顧問の部活なんてな」
「碌なものじゃないからな」
「実際に学校でも指折りの嫌われ者もいたしな」
 そうでもあったというのだ。
「何か碌な顧問じゃない部には碌な奴が集まらなかったな」
「それは当たり前だ」
 先生はそれは当然だというのだった。
「それはな」
「当然なんですか」
「類は友を呼ぶ」
 まずはこの言葉からだった。
「そして糞には糞蝿がたかるものだ」
「だからなんですか」
「碌でもない人間は集まるものだ」
 つまりその蝿が集まるというのである。
「そうした部活には入らなくて正解だった」
「じゃあ道場で剣道をしていたのは」
「正解だな、先生もそう思う」
「そうですか」
「そうだ、正解だ」
 まさにそうだというのだった。
「しかし。そんな奴が剣道をやっているか」
「確か四段です」
「段の問題ではない」
 先生の言葉は厳しいものになる。
「それでその顧問のことを教えてくれるか」
「はい、俺の通っていた中学校で」
「それで」

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