理屈の上に成り立つ力
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を見透かし、否定する。
「安心して。彼女たちは私が後で始末するからあそこに閉じ込めているだけ。人質にする気なんてサラサラないわ」
そう言って球体の中にいる誰かを睨み付けるヨザイネ。彼女のその目は完全に闇に染まった者のそれだった。
「上等だ。仲間をやらせたりするもんかよ!!」
魔力を高め突進する。悪魔を滅する力を宿した彼は両手に氷の剣を携えた。
「氷魔・零ノ太刀!!」
一年前に見せた技を二刀流に変化させての攻撃。その速度は見守ることしかできないジュビアたちでも捉え切れないものだった。
ガシッ
それなのに、ヨザイネはその左右からの攻撃を指二本であっさりと受け止めてしまう。
「あなたたちは本当に仲間が大切なのね」
「あぁ!!当たり前だろうが!!」
本当の家族よりも深い絆で結ばれたと彼らは確信を持っている。その輪はどんどん大きくなっていき、フィオーレ全土に広がっているのだ。
「ふ〜ん・・・そう」
彼女はそれを聞いて特に表情を変えることはなかった。だが、わずかに戦場に変化をもたらす。
「漆黒の檻、解除」
ジュビアたちを捉えていた真っ黒な球体を消し去ったのだ。解放された彼女たちは驚いた顔を覗かせる。
「なんだ?何がしたいんだ?お前」
逃がさないために作り出した魔法を物の数秒で消し去る謎の行動。それが何を意味しているのか、誰にも予想がつかない。
「面白いことを考え付いたので、趣向を変えようと思いま〜す」
「「「「「は?」」」」」
突然手を挙げて遊びを企画した子供のようなテンションになるヨザイネに全くついていけない。それでも彼女は止まることなく話を続ける。
「あなたは仲間が大切だと答えた。それは惑うことなき事実。であれば・・・」
その瞬間、ヨザイネの雰囲気が一変したのを感じた。全身から溢れ出る魔力。それはあまりにも大きく、その場にいた全員の肌がビリつく。
「仲間を殺されたら、あなたはあなたでなくなる」
突如ヨザイネの肉体が輝き出した。すると、それと同調するように一人の少女の足元に魔法陣が現れる。
「え?これはなんですか?」
突然のこと過ぎて何がなんだかわからないジュビア。だが、グレイとリオンはすぐにこれから何が起きようとしているのか察した。
「いかん!!」
「逃げろジュビア!!」
駆け寄ろうとする二人の青年。だが・・・
「全てに勝る天地の精よ。汝の持てる力を一点に宿らせよ!!」
その瞬間、世界中全ての人々の視界から光が消えた。わずか1秒程度の時間だったために誰もそれを気にすることはなかった。だが・・・
「きゃあああああ!!」
そのわずか1秒が、一人の少女の全てを奪うこと
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