152部分:第十二話 夏に入りその三
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第十二話 夏に入りその三
「日差しが余計にね」
「もう何もかもが暑い要素を醸し出していて」
「全く」
そんな話をしながらだった。星華はスポーツドリンクを飲んでいく。その時に仲間の一人が彼女を含めた皆にあるものを差し出してきた。
「はい、これ」
「あっ、レモンじゃない」
「マネージャーから?」
「そうよ、マネージャーからの差し入れよ」
まさにそれだというのである。
「これ食べてね。皆一個ずつね」
「いいわね、それも」
「レモン食べると疲れ取れるしね」
「爽やかになるし」
だからだというのだった。確かにレモンは疲れにいいものだ。
「それじゃあ今からね」
「一個ずつ食べて」
「また練習再開なのね」
「そうよ。水分とエネルギーの補給は忘れないことよ」
白いティーシャツと赤いジャージの妙齢の美女が来た。茶色の波がかった長い髪を後ろで束ねている。その彼女が星華達に言ってきた。
「さもないと倒れるわよ」
「そのうえで汗をかけってことですね」
「エネルギー補給をしながら」
「そういうこと。水分やエネルギーをよく採って」
そしてであった。
「そのうえでよく動く。いいわね」
「わかりました」
「そして汗をかけってことね」
「そうよ。汗をね」
まさにその通りだというのだった。
「汗をかきなさい、たっぷりとね」
「熱中症や日射病にならないようにですね」
「それに気をつけてですか」
「そういうことよ。わかったわね」
コーチはまた星華達に言ってきた。
「そういうことよ」
「それじゃあ御言葉に甘えまして」
「レモン頂きます」
「一個ずつ」
「あと水分も忘れないでね」
コーチはこのことを言うのも忘れなかった。
「それもね」
「わかりました」
星華はストローから口を離して答えた。
「じゃあそれも」
「そういうことよ。あとはね」
先生はさらに言ってきた。
「顔を洗って気分もすっきりさせなさい。それでまた練習よ」
「はい」
「それじゃあ」
彼女達は激しい中にも爽やかな部活を楽しんでいた。そして彼女達がいる体育館の側の道場ではだ。剣道部員達が汗をかいていた。
「よし、練習止め」
部長の声が響く。
「少し休憩にするぞ」
「わかりました」
皆それに応えてだった。それぞれの場所に正座してそのうえで面を取る。その瞬間に誰もがほっとしたような顔になる。汗だらけの顔でだ。
「ふう」
「終わったなあ」
「面つけての稽古はな」
「そうだよな」
こう口々に言うのだった。
そして中にはだ。自分の喉を押さえて言う部員もいた。
「しかし。突きはな」
「ああ、効くな」
「話は聞いていたけれどな」
「外れるとやばいしな」
「だよな。喉だしな」
「やばいやば
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