第60話 嵐の前の静けさ
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ールズカリッターは考え込んだ。
「やはりティアマトからですかね」
「そうなんだけど、無理なんだ」
「何故でしょうか?」
「ティアマトからイゼルローン要塞まで8光年弱だよね、それで居て10億トンの氷塊は亜光速でしか進めない、すると8年後に要塞へ突入と言う事なる。8年間もあの回廊を氷塊を守って戦える?」
そう言われたスールズカリッターは、ハッという顔をした。
「そうですか。確かに無理ですね」
「そう言う事、10億トンの氷塊を運べる輸送船でも造らない限りは無理だね」
結婚式で、作戦談義までしてしまうリーファは職業病であろうか?
こうして結婚式の夜は更けていく。
宇宙暦794年7月1日 午前7時
■自由惑星同盟
この日の朝、自由惑星同盟全域に流れたニュースは全国民に驚きを持って受け取られた。
数々の傑作を世に送り出した謎のE・W女史。最近では著書がドラマ化や映画化や芝居化され全国で大ヒットを続けていて、その印税や営業権での純利益は実に300億ディナールに達してた。
しかし、E・W女史は世間に一切姿を現さずに、その巨大な利益は出版社が預かった状態で有った。E・W女史の正体を暴こうとする、マスコミは元より、同盟軍情報部、帝国軍情報部、フェザーンなどもその資金の流れで正体を暴こうと考えていたのであるが、この日の声明でそれすら不可能になったのである。
この日、コンピューターグラフィックと機械音声《ルカネエ》で作られたE・W女史の黒塗り映像が流された。
『皆さん、私の著書を読んで頂きありがとうございます。E・Wと申します。この度、私は300億ディナールで育英基金を立ち上げる事に致しました。この育英基金に私の全ての権利を付与しその運営資金とする事を宣言致します。誠に勝手ながら、育英基金の理事として三名の方を指名したいと思います。
此は私がこの方々の清廉潔白さを知ったためです。お会いした事は有りませんが、お引き受け頂ければ幸いです。御一人目はハイネセン首都政庁のビジアス・アドーラ参事官、御二人目は最高評議会書記局のグレアム・エバード・ノエルベーカー二等書記官、御三人目は財政委員会事務局のクロード・モンテイユ国庫課長、この方々に是非理事として基金の運営をお願い致します。
自由惑星同盟に救われた、私が出来る精一杯の事をしたいのです。自由惑星同盟の方々の親切を私は忘れません。皆さんありがとうございます」
この放送が流れると、多くの国民が、E・W女史の行動を褒め称えた。そして名前の挙がった3人にして是非理事になるべきだとの電話やメールが多数届いたのである。
全く事前に知らされていなかった3人にしてみれば、青天の霹靂と言え慌てるばかりであった。軍情報部が直ぐさま動き、3人に対してE・W
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