暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
Alicization
〜終わりと始まりの前奏〜
曇天
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ぶん、残響のようなものだったのだ。ハムレットのような悲哀も、翻って喜劇性もなく、どこまでもサラリと終わった自分の恋。

浅ましく、見苦しく、執着心だけは残った、残ってしまった恋心。

そしてGGOにてその執着心さえ拭い去った今となっては、なるほど、明日奈の言う通りな状態に見えるのかもしれない。

「でもさ、明日奈。応援してくれるのは嬉しいんだけど、たぶんボクはもう、そういうのはいいんだよ」

「えぇ〜!な、なんで!?」

「レンと一緒にいるマイちゃんを見るとやっぱり、敵わないな〜って思うんだ。レンを一番よく分かってるのはマイちゃんで、ボクは今までずっと蓮の近くにいながら、ボク自身のことしか目を向けられなかったから」

GGOでそれは、嫌というほど判った。理解した。

こちらは勘でも予感でもなく、実感として。

「別に卑下とかじゃないんだ。ただ、とっくの昔に整理できてた気持ちに、今更ながらきちんと真正面から向き合えたってだけ」

恋というものはまだある。

だけどそれは、熱も湿り気もないモノ。

それは果たして、まだ恋と呼べるのだろうか。

「…………いいの?木綿季はそれで」

「――――――――うん」

晩冬の曇りの空を見上げ、少女は静かにうなずく。

GGOでの痴態を見れば、自分は子供でいることはまだ卒業できないようだが、それでも――――

恋に恋することくらいからは、卒業しよう。

その第一歩として、あの少年とはこれまでと何ら変わらない日常を送ろう。

成長なんてしていない。いつまでもしがみつき、踏みとどまっていた一人の剣士は、ちっぽけな決断をした。

―――蓮、今どこにいるのかな。
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