暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
Alicization
〜終わりと始まりの前奏〜
曇天
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「それで木綿季。蓮君、いつ行くの?」
「今日」
「今日!?」
驚きのあまり仰け反る親友に朗らかに笑いかけながら、少女は小さく溜め息をつく。
せっかく決心をしたはいいが、訊く機会は当人がアメリカから帰った後となるだろう。手紙によれば、長くはかからないとのことなので、早ければ明後日くらいには帰国するとのこと。
「なんか意外ね。木綿季なら、学校を休んでもアメリカまで一緒についていくか、それでなくても空港まで見送りするかと思うんだけど」
「閣下のトコのリョロウさんが空港まで付き添ってくれるらしいし、あっちじゃウィルさんが一緒にいてくれるっていうから、ね。なんとなく流されちゃったって感じかな」
えへへ、と苦笑するように笑う木綿季を数秒、覗き込むように見つめた明日奈は唐突にべしっと鼻先を弾いた。
「いたっ!ちょっ、痛いよ明日奈ぁ……」
「甘い!甘いよ木綿季!そんななあなあで流されてちゃ、一生蓮君の気を引くことなんて無理だよ!それでなくとも、ただでさえマイちゃんやカグラさんまで――――あ」
「……カグラ?カグラさんがどうかしたの??」
「ななななんでもないッ!」
途端にわたわたし出す親友を前に、先刻の彼女の所作をトレースするように木綿季は小首を傾げる。
目下一番の恋敵(アスナ認定)であるマイと同じく、ALOでのレンと同棲している巫女装束の
闇妖精
(
インプ
)
、カグラ。確かに明日奈の言うように、彼女もまた蓮に好意を寄せていないとは限らないだろう。
だが、なんとなく。
なんとなく、だ。
《アレ》が彼に寄せているのは、もっと性質の違う――――否、
性質
(
タチ
)
が悪い別種のナニカのように思える。
ALOの際にキリトを相手に暴走し、敗けて勝手に身を引こうとしていたレンに向かって手を振り上げたにもかかわらず。
叱らなければならない時に、彼を叱ってくれた稀有な人なのにもかかわらず。
こんなの、何の根拠もない勘のような予感でしかないのだけれど。
反して、とくに食い下がりもしなかった少女に肩透かしを食らったように、明日奈はわざとらしい咳払いをした後、テーブルに肘をついて身を乗り出してきた。
「ホントにどうしたの、木綿季。前まではもっと……その、積極的だったじゃない」
「そうかなぁ……」
間近にあるはしばみ色の瞳から逃れるように木綿季は明後日の方を向く。
GGOの一件はたぶん、ある意味では関係ない。
この気持ちにいったんの整理をつけたのは、たぶんALOの頃。
小日向蓮の病室を訪れ、寝たきりの彼の唇に自分のそれを重ねたあの時に、たぶん全て吹っ切るまではなくとも、気持ちの一面くらいは向き合えたのかもしれない。
GGOのアレは――――だからた
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