第5章:幽世と魔導師
第162話「避けられない無謀の戦い」
[1/10]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
=out side=
『……姉さん』
「……まださ」
クロノが張り、ユーノが維持していた結界が崩れる。
術者が倒れてしまったため、守護者を抑えられなくなってしまったからだ。
「……まだ、終わってない」
『ですが……!』
「確かに、あの魔導師達では大してあいつを追い詰める事は出来なかった。だけど、それは承知の上だろう。魔法による結界で隔離してから、そんなに時間は経っていない。それでも“時間を稼いだ”んだ。……別の狙いがあるのだろう」
『それは……』
呪属性の霊術で妖の群れを抑えつつ、紫陽は葉月と会話する。
幽世の神である紫陽にとって、ただ溢れるだけの妖など有象無象も同然。
足止めをするだけなら、長時間戦い続けるのも可能だ。
……ただし、依り代である葉月の体が耐えられる間だけだが。
「結界が張られる前に一人で戦った娘、その娘を寸でのところで助けた娘。そしてもう一人、ここに守護者が来るまでに戦っていた娘。この三人は、これで終わるとは思えないね」
『………』
「それに、次が来てくれたよ。……あの子たちが」
『……あれは……』
紫陽の視界に映るのは、守護者に斬りかかる蓮の姿だった。
「……個々の犠牲は気になるが、だからと言ってあたしが出る訳にはいかない。さすがに守護者も連戦で疲弊しているはずだ。大局を見て、確実に勝利をもぎ取らないと」
『……わかっています』
紫陽は確かに強い。それこそ、妖の足止めの必要がなく、なのは達と協力して戦えば何度も勝利するチャンスは生まれていただろう。
だが、同時に紫陽は大局的に弱点でもある。参戦する分、紫陽が殺される可能性も上がり、紫陽が殺されれば、妖の抑止力がなくなり、再び日本中に妖が溢れかえってしまう。
それを理解しているが故の、苦渋の判断だった。
「……信じられんが……事実なのか」
「どうやら、そのようね」
一方、京都に辿り着いた鞍馬達は、結界に隔離される寸前に守護者を見つけ、そしてその正体に動揺して足を止めていた。
「……予想は、できたはずよ。大門を閉じた直後から行方不明になったのなら、そのまま大門の守護者になっても、辻褄は合う」
「そうだな。門の守護者は成り代わる事が出来る。それが大門でも変わらぬのだろう」
鈴の言葉に、悪路王が実体化して肯定する。
「作戦は変わらないわ。例え守護者がとこよだとしても、倒さなければ何も変わらない」
「……そうだな。しかし……」
何とか鞍馬はその真実を割り切ろうと気持ちを切り替える。
しかし、他の面子はそう上手くいかないようだ。
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ