ペルソナ3
2074話
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鶴の隣には、ゆかりの姿もあった。
「さて、アクセル。これはどういう事なのかしら? 私が聞いたアクセルの恋人に、この人はいなかった筈だけど」
「え、あ、私は別にアクセルの恋人じゃないわよ。ただ、ちょっと興味があって、今日は用事がなかったら、一緒に来ただけで」
ゆかりの言葉に、明日菜が慌てたようにそう告げた。
……寧ろ、ゆかりと美鶴の視線に気圧された、と言うべきか。
「ま、そういう訳だ。明日菜はちょっとこの……街を見てみたいって事で、連れて来ただけだよ」
この世界と言いそうになったが、取りあえずそれは誤魔化しておく。
それに再度ゆかりが何かを言おうとしたが……チャイムが周囲に響き、次の授業が始まるという事で、ゆかりを含めて全員が俺と短く言葉を交わした上で戻っていくのだった。
「え? ここにアクセルが住んでたの!?」
俺が借りていたアパートを見て、明日菜が驚愕の声を上げる。
……まぁ、築数十年って感じのアパートだしな。
ちなみに、ここの大家には既に挨拶をしてきた。
多く貰った家賃の分を返すと言ってきた辺り……何だかんだと、荒垣から紹介されただけの人物の事はあるのだろう。
もっとも、色々と無茶を言ったので、返すといった分を受け取る事はなかったが。
「ああ。このアパートは色々と訳ありの奴が多くてな。当時は戸籍とかがこの世界になかった俺にとって、丁度良い場所だった。……入るぞ」
そう言い、明日菜を連れて俺の部屋に入る。
ホワイトスターにある俺の家とは、比べものにならないだけの小さい部屋。
「うわぁ……」
明日菜の口から出る言葉を聞きながら、この世界に来てから買った物を次々と空間倉庫に入れていく。
冷蔵庫の中は……まだ冬という事もあって、悪くなっている食材の類はない。
ふむ、材料はエリンギに生卵、それに出汁醤油に……うどんもあるな。
よし。
「明日菜、折角だ。俺が手料理をご馳走してやるよ」
「え? アクセルの手料理……?」
そんな風に驚いている明日菜を見ながら、鍋に水を入れてお湯を沸かし……俺がこの世界で一番多く作った、釜玉うどんを作るのだった。
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