二匹め
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ェルム。ところでお前の夫は何をしておるのだ?」
対する九尾の名はタマモ。
中国皇帝をたらしこみ、日ノ本へ渡り殺生石として封印された白面金毛九尾乃前…玉藻御前そのものである。
「ブライは、国王陛下の命にて邪龍討伐に赴いております」
「ちっ…あの小童あとで絞める」
なお国王はすでに60を迎えようとしている。
それを小童呼ばわりできる玉藻の年はもう本人ですら覚えていない。
「では円環の儀式といこうか」
円環の儀式とは生まれたばかりの赤子に名を与え、ステータスプレートを作ることだ。
その時に円環の女神サークリオンの加護が与えられる故に円環の儀式と呼ばれる。
「シェルム。この子の名は?」
「シラヌイ」
「ほう『不知火』か。懐かしい響きだ。
それに、相応しき名でもある。
まぁよい。シラヌイじゃな?」
タマモが赤子を受け取り、魔方陣の上に置く。
その額に空白のステータスプレートを置き…
「神よ。新たなる生を円環へ受け入れ給へ。
かの名はシラヌイ。円環の加護を新な子に与え給へ」
ステータスプレートが発光し、文字が浮かび上がる。
名 シラヌイ・シュリッセル
性別 男
種族 ルナール
年齢 0
クラス 未定
level 1
スキル エナジードレイン 円環の祝福
リインカーネイター(封印)
それを見たタマモは、クスリと笑った。
「よもや…儂を除いてサークリオンに会った魂がおるとはのぅ…
して封印という事はまだ目覚めておらぬのか」
「お母様?」
「なんでもない」
シェルムは出産の疲れで眠っている。
その傍らでタマモはシラヌイを抱いていた。
「シラヌイ」
「あー?うー?」
「儂の言葉がわかるか?」
「うー?」
「だめか…まぁよい」
タマモがシラヌイの額に指を当てた。
「魂橋」
タマモの意識が落ちる。落ちる。落ちる。
そうして、タマモは真っ白い空間に立っていた。
その空間には、一本の木がはえている。
その木だけは幹は茶色く、葉は青く、色があった。
そして、その木には一人の人間が埋め込まれていた。
小さな男児で、その目は閉じられている。
「シラヌイ。聞こえておるかの?」
だが、木と同化した男の子は起きない、答えない、眼をあけない。
タマモがその木の周りをぐるりと一周する。
「ん?なんじゃこれは?」
幹に、文字が書いてあった。
不知火の反対側の幹だった。
その文字はタマモが現在生きている世界の文字ではなかった。
漢字。彼女の前世の世界の文字だった。
『
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