145部分:第十一話 プールでその十二
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第十一話 プールでその十二
「そうだったね」
「その通り。実は」
「ううん、それは意外」
「俺ずっとそうだって思ってたけれどな」
「私も」
狭山と津島は驚いた顔で述べる次第だった。もっともその間もサンドイッチにお握りを食べ続けている。食べることは止めていなかった。
「フランスじゃなかったのかよ」
「フランス人言いそうな感じだけれどね」
「しかもマリー=アントワネットは元々フランス人じゃない」
「ああ、オーストリアの人だったよな」
「そう」
こう陽太郎に述べる。
「お母さんはマリア=テレジア」
「何かどっかで聞いたよな」
「有名な人?私達世界史は専門じゃないからわからないけれど」
二人は公民系なのである。社会と一口に言っても様々な科目があるのである。
「漫画で出てなかったか?」
「そうよね」
「女帝エカテリーナ」
椎名はぽつりと述べてみせた。
「その漫画に少しだけ出てる」
「あのロシアの人か」
「そう、ベルサイユのばらを描いた人も漫画」
「じゃあやっぱりゴージャスなんだな」
「服も何もかもがゴージャス」
池田理代子という漫画家の特色である。そこには深い歴史の知識と教養もある。意外なことに男性でも読める少女漫画であるのだ。
「それも味わえる」
「そうか。一回読んでみようかな」
「読んでみるといい」
椎名は陽太郎に薦めもした。
「勉強になる」
「ロシアって寒いイメージがあるけれどな」
「シベリアは暖かい」
さりねがくこんなことも言ってきた。
「そう、ヨシフおじさんも優しい」
「いや、それはないから」
陽太郎は速攻で突っ込み返した。この場合は誰かというと言うまでもなかった。ソ連の独裁者であるヨシフ=スターリンのことである。
「何でスターリンが優しいんだよ」
「ロマノフの慈悲」
「それも怖い言葉だよな」
「殺される前の言葉ね」
歴史が専門ではない狭山と津島も直感で感じたことである。
「何で怖いんだよ」
「そんなに」
「後は寛容なソ連、雷帝の涙、そして」
「そして?」
「プーチンの微笑み」
最後はこれだった。
「そういう言葉がある」
「どれも反語だね」
赤瀬はその言葉を聞きながら今はハンバーグサンドを食べている。
「見事なまでに」
「ロシアの歴史は楽しい」
椎名はどんどん黒くなっていく。そのオーラがだ。
「何かあるとすぐに大粛清があるから」
「どのレベルの粛清なんだよ」
「信長の一向一揆征伐や比叡山が些細なこおtになるレベル」
「それがすぐに起こるのかよ」
「そう」
こう陽太郎に答えるのである。サンドイッチを食べ続けながら。しかもよく見てみるとその食べる速さが尋常なものではなかった。
「すぐに」
「滅茶苦茶怖いだろ
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