EX回:第64話(改1.5)<艦娘たちの想い>
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きも鋭いからSPも兼任した武官だろうな……私はボンヤリ考えながら見ていた。
『では、改めて艦娘の説明をいたしましょう』
咳払いをしてブルネイ提督が英語で話し始める。
『現在、世界各地の海域に深海棲艦が出没して以降、既存の軍艦や巡視艇などが、まったく太刀打ちできず海上航路が分断されて久しいのは、ご存知の通りです』
一同、頷く。艦娘たちも、この件は知っているだろう。
『深海棲艦の出現とほぼ同時期に、わが国に現れたのが艦娘と呼ばれる彼女たちです』
提督は艦娘たちをチラッと見ながら続けた。
『普通の人間ではなく、かといってロボットでもない。それでいて艤装と呼ばれる武装を施すことで通常兵器の何倍にもなる兵力を有します。それまで、いかなる兵器でも、まったく対抗手段がなかった深海棲艦への唯一の切り札となっています』
『問題はだね……』
あのブルネイ軍の作戦参謀が手を上げた。
『どうぞ』
提督は発言を促した。
彼は続ける。
『まだ日本にしか、その艦娘たちが居ないという事実だ』
片言の英語だった。
『中東から東アジアへのシーレーンは日本のお陰で徐々に回復しつつあるが欧米は未だ陸路や空路に頼る現実だ』
『そうじゃな』
『王宮男性』も英語で話題に加わってくる。
『わが国は、ちょうど中継地点で、いろいろ協力しておるが、なぜ日本だけが艦娘を独占する? 貴国は優秀な工業大国だから、もう艦娘の量産化も出来ているんじゃろ?』
顔は微笑んでいるのだが言葉の端々に若干の不信感を滲ませている。場は再び微妙な空気に包まれた。
するとブルネイ提督は恐縮そうな顔をした。
『はい、仰る通りです。ですが決して独占しているわけではなく……』
彼は一呼吸を置いた。
『そもそも彼女たちは工業製品のような存在ではありません。ですから仰る量産化も、まだ研究中で、ここに居るのは日本から来たオリジナルの艦娘たちなのです』
『オリジナル? 艦娘は量産兵器ではないのか』
初めて知ったような顔で警察関係者がカットイン。この反応された言葉には美保の艦娘たちも顔をしかめている。
(そうだよな)
私自身も海軍の内外で何度も聞かされたセリフだ。もっとも日本国内での認知度は、まだ少ないのだが。
「よろしいでしょうか」
突然、赤城さんが挙手をした。これに一同、ちょと驚いた。
ブルネイ提督は「どうぞ」と言った。彼女は軽く会釈をして立ち上がった。
「私たちを兵器と見られるのは致し方ないと思います」
直ぐにブルネイ側にも通訳が入る。その様子を確認した赤城さん。
「そう……私たちの使命は、ただ単に敵を殲滅すること以外にはありませんから」
淡々と説明する。
「でも私たちには心が
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