暁 〜小説投稿サイト〜
IS〜夢を追い求める者〜
最終章:夢を追い続けて
第72話「想い起こした夢を追う」
[8/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


「その上を行く」

 至極、単純な事だ。
 そして、その手段を俺は持ち合わせている。

   ―――単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)群軽折軸(ぐんけいせつじく)”起動

「ッ―――!?」

     ギィイイイン!!

 レーザーの雨を掻い潜る速度が上がる。
 同時に、一気に駆け抜けて桜さんに肉薄。ブレードを振るった。
 防がれはしたものの、その威力、速度に驚愕した桜さんは吹き飛ばされるように後退した。

「……おいおい……“単一仕様”能力なんだぞ?」

「………」

「……能力がもう一つあるなんてな……」

 驚いたかのように、桜さんは言う。
 ……いや、これは……。

「“フリ”はやめてください。……わかっていたんでしょう?」

「……まぁな」

「“大器晩成”は飽くまで夢追に“備え付けられた”能力。担い手……俺と夢追による能力じゃない。そして、桜さんの“想起”も」

「………」

 “大器晩成”は初めから使えた能力だ。
 ゲームとかで例えるなら、事前登録特典みたいなものだな。
 箒の絢爛舞踏などと違い、ISと通じ合うことで発動する能力じゃない。
 ……つまりは、本来の単一仕様能力ではなかったのだ。

「夢追が夢追である、想起が想起である故の単一仕様能力。……“大器晩成”も、“想起”も厳密にいえば“単一仕様”の能力じゃない」

「……その通り。そして、別に能力があるならば……」

   ―――単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)“飛翔・桜”起動

「……既に、使えるって訳ですね」

「ご名答」

 能力を発動させた想起から、桜色の燐光が出ていた。
 ただのエフェクトな訳がない。一体、どんな効果を持つのか……。

「……さて」

「――――ッ!!」

 その軌道は燐光が伴って綺麗なもので……。
 ……そして、あまりにも速かった。

     ギィイイイン!!

「くっ……!」

 飛行能力に大きな補正がかかっているのか、明らかに動きが違った。
 そして、気になるのは宙に残り続ける桜色の燐光。
 ……嫌な予感しかしない。

「っつぁっ!!」

     ギギィイイン!!

「っと、気づいたか」

 何とかブレードを弾き、間合いを離す。
 もちろん、燐光からも距離を取った。
 すると、桜さんはそう言って指を鳴らし……燐光が炸裂した。

「(飛行能力の補正と、その軌道に残る燐光の炸裂。……それに加え、俺と同じようにもう一つの単一仕様能力を同時に発動させている。……厄介に厄介を重ねられたな)」

 ブレードを握りなおす。
 未だに、桜さんと俺の差は大きい。
 縮めてもすぐに離される。いや、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ