=体育祭編= セレクト・アウト
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轟は、改めて見た。
全身から青白いオーラを噴出させて、目にも留まらぬ速度で迫る水落石の姿を。その、時間を置き去りにしたような圧倒的な速度を。
『な………ンだあの馬鹿スピードはッ!!予選でも授業でも使った事ねぇだろォォォォーーー!?ここにきて隠し札とはどんだけトリッキーなんだ水落石ィ!!』
『あのオーラ、個性発同時にたまに出てるのと一緒だから自前の個性じゃああるんだろ』
司会の二人は困惑に満ちている。相澤先生も口ではそう言っているが、合点がいっていない。当然だ。水落石の個性は『超感覚』。察知系の力であって、物理的な力に転用できる代物じゃない。だが、そんな謎は後回しだ。
「まずいな……あの速度じゃ捉えられん。かといって氷に籠城してるんじゃ戦意なしと見なされて失格……」
一瞬、炎を使うかと思案するが、すぐに棄却。使わないと決めているのは勿論のことだが、あの速度の水落石相手に慣れない炎攻撃など付け焼刃にしかならないからだ。炎は邪魔になった氷を解かす時のみ、あとは氷だけで封殺するしかない。
「だったら……!!」
多少無茶をすることになるが、会場内にまともな足場を無くすために轟はステージ上全体に氷柱を作る。これは、水落石の攻撃を受ける事を承知の上での前置きだった。実際、予想通り水落石はこの隙を逃さず仕掛けてきた。
ただし、投げた氷片とバウンドさせた氷片、そして自分自身という同時三点攻撃によって。
「つあああぁぁぁぁッッッ!!!」
「曲芸かよ……っ!!」
直撃すれば痛いではすまない山なりの投擲、作った氷柱にバウンドしながらこちらに向かってきた氷、そして水落石。とっさの判断で、轟は目の前に氷の盾を作りながら水落石側に突進した。シールドバッシュだ。これによって二つの氷を避けながら水落石を迎撃する。恐らくは最善手――しかし、獲れる最善手と成功の確率は必ずしも一致しない。
水落石はそれを見た瞬間に獣染みた踏み込みで方向を変える。避けられると判断した轟が氷の盾を手放した瞬間、烈風の如く回り込んだ水落石の強烈なボディブローが叩きこまれた。
「がはッ……!」
内臓が揺れる衝撃が突き抜け、一瞬意識が飛びそうになる。しかし歯を食いしばって耐えた轟はそのまま水落石の手を捕まえようと手を伸ばす。
が、寸での所で手を引かれ、歯ぎしりする。絶対的な速度差が違いすぎる。
(あと二、三発も貰ったら……立てなくなりそうだ)
もはやこうなれば後先を考えている暇はない。既にこの事態を想定してステージ全体に土壌は作っている。あとは根競べだ。
「一発でいい、当たれェェェェェェェェェェェッッ!!!」
個性、最大出力。自分の周囲だけ氷を溶かしながら一度体温を調整し、そのまま轟は完全
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