巻ノ百四十 槍に生きその五
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「十勇士の者達も秘術を使うが」
「この時の為に授かった」
「まさにそれを使いましょう」
「我等の全てを使い」
「そうして戦いまする」
「それと共にじゃ」
その十勇士達と共に言うのだった。
「よいな」
「はい、それでは」
「殿もですな」
「秘術を使われ」
「戦われますな」
「そうする、見るのじゃ」
幸村はこの言葉と共にだった、急に。
二人になった、幸村からもう一人の幸村が出て。
その二人目の幸村から三人目の幸村が出て四人五人と増えた、見れば具足も槍も馬も何もかもが同じだ。
合わせて七人の幸村が出た、そして言うのだった。
「七耀の術、これで戦おう」
「何と、殿が七人になられたぞ」
「まるで北斗七星の様じゃ」
「七人になられそのうえで」
「戦われますか」
「一人で出来ぬことも七人でじゃ」
それだけいればというのだ。
「より戦えるであろう」
「はい、一人より二人」
「二人より三人であります」
「それが七人ともなれば」
「大きな力です」
「それでじゃ、この七耀の術でじゃ」
あの修行で授かったそれでというのだ。
「戦ってそしてじゃ」
「勝たれますか」
「そうされますか」
「これより」
「この術を使う時が来た」
今まさにというのだ。
「ではな」
「はい、参りましょう」
「殿も秘術中の秘術を出されました」
「それならばです」
「我等もです」
「戦いまする」
「己の全ての力を出して」
兵達も応えた、そしてだった。
真田の兵は突き進みだ、まずは先にいるその兵達をだった。
一気に突き崩した、敵の兵達は真田のその軍勢の強さに驚愕した。
「な、何じゃ!?」
「何じゃこの兵の強さは」
「異様に強いぞ」
「昨日も強かったというか」
「今日はおそらくその比ではないぞ」
彼等は退くつつ言っていた、その退き方は崩れているもので逃げると言っていいものになっていた。
「火の玉の様じゃ」
「恐るべき強さじゃ」
「何という強さじゃ」
「これは適わぬ」
「冬の戦よりも凄いぞ」
真田丸に篭っていたその時以上にというのだ。
「これは強い」
「敵わぬわ」
「逃げた方がよいぞ」
「とてもな」
兵達に退けられそしてだった、幸村は逃げる彼等には目もくれずただひたすら家康の本陣を目指していた。
十勇士達も先陣に立ち幸村と共に戦っていてだ、秘術を出していた。
「殿、では」
「我等もです」
「今こそ秘術を出し」
「そうして敵を退けましょうぞ」
「うむ、思う存分使うのじゃ」
この時にとだ、幸村も兵達に言った。
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