第十一幕その十
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「日笠さんもですよ」
「日笠さんも勿論だよ」
「絶対に忘れないで」
「そうするよ」
「忘れないで下さいね」
日笠さんのことは絶対にというのです。
「くれぐれも」
「わかってるよ」
「そうそう、他の人のこともだけれど」
「日笠さんは特によ」
「先生忘れないでね」
「何があってもね」
「それはわかってるけれど」
それでもとも思う先生でした。
「何か皆日笠さんのことはいつも強く言うね」
「そこは忘れたら駄目だから」
「何としてもよ」
「僕達も言うよ」
「他のこと以上にね」
「そうなんだね、日笠さんは大切なお友達だしね」
ご自身はこう考えています。
「だからね」
「そこでそう言うのはアウトよ」
「先生、注意してね」
「くれぐれも」
「日笠さんはお友達かどうか」
「そこはちゃんと考えてね」
「何でそこまで言うかいつも不思議だけれど」
ついつい周りを見回しつつも首を傾げさせてしまった先生でした。
「日笠さんのことは大事にしないとね」
「まずはそこからよ」
「全然進展しないけれど」
「全く先生ときたら」
「これからどうなるやら」
日笠さんとのことはやれやれと思う皆でした、ですがそれでもです。
皆で高野山の中を回ってそうしてでした、そのうえで。
いよいよ帰る時になって皆でお土産とお弁当を買ってキャンピングカーに乗せました。そうしてなのでした。
ふとです、先生は梅干しを買って思うのでした。
「何か最後までね」
「梅干しだったね」
「和歌山は」
「空海さんとね」
「梅干しだったね」
「そうだね、感慨深いね」
動物の皆に梅干しを見つつ笑顔でお話する先生でした。
「ずっと梅干しと一緒だったって思うと」
「梅干しをよく肴にしたし」
「それで飲んでもきたし」
「そう思うとね」
「余計によね」
「うん、感慨があるよ」
心から思う先生でした。
「空海さんは梅干しを食べていたかどうかはわからないけれど」
「当時はまだなかったのね、梅干し」
「平安時代の日本には」
「そうだったの」
「うん、日本の食文化は時代によって違うしね」
それでというのです。
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