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天使のような子に恋をした
天使のような子に看病してもらった
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ていいって。じゃ、また後でな」

 そのメッセージを確認した後、スマホの画面を消す。俺以外誰もいないこの空間を、相変わらず静寂が支配していた。物音一つ聞こえない静かな世界。ただ聞こえるのは自分の呼吸音だけ。それもあってか、先程目覚めたばかりだというのに睡魔が襲ってきた。

 俺はなすがまま、その睡魔に身を委ね、意識は深い闇へと落ちていった。



 ◆



 気が付けば、どこかの公園にいた。さっきまで自分の部屋にいたのに、いつの間に公園に来ていたのだろうか? しかも見覚えのない公園。俺はこんな場所知らないぞ。

 考えられるのは夢……か。だが夢にしては色々リアル過ぎる。空気感、質感など、どれをとってもその場に実際にいるような、そんな感覚。なるほど、これが所謂明晰夢といわれる夢か。

 確か明晰夢は何でも好きなことが出来るらしい。空を飛んだり、アニメの様にエネルギー弾を発射したり──だが、いくら念じてみても空を飛ぶことは出来なかったし、エネルギー弾も撃てなかった。

 話が違うじゃないかと心の中で不満を漏らすと、突如として景色が変わった。そこにはことりと穂乃果さん、そして何故か“俺”が居た。声を掛けてみたり、手を振ったりしてみるけれど、何の反応もない。どうやらこちらからの干渉は出来ないようだ。

「──穂乃果ちゃんの方が可愛いから、私と別れるの?」

 突如として発せられた言葉に動揺を隠せない俺。夢特有の超展開。ちょっと待ってくれ、これは一体どういう状況なんだ……。

「……ああ、悪いな。正直、ことりには飽きたよ」

 “もう1人の俺”が、そんな言葉を発し、“俺”はぎょっとする。

 おい、何だよ飽きたって……どういう意味だよ……! 違う、俺はそんなことは死んでも言わない。コイツは、ここにいる“もう1人の俺”は、偽物だ……!

「そっか……うん、分かった」

 ことりの悲哀に満ちた表情。やめろ……そんなことりの表情なんて見たくない! 何をやっているんだ俺は……!
 “もう1人の俺”に対して猛抗議するが、いくら叫んでも俺の声は届かない。

「仕方のないことだもんね。うん、穂乃果ちゃんの方が可愛いのは本当だもん」

「当たり前だ」

 徐々に焦りと怒りが募ってくる。ことりも何を言ってるんだ……! そんな自分を卑下するようなことを言わないでくれ!

 思わず、“もう1人の俺”に殴り掛かるが、俺の拳はコイツの身体をすり抜けて当たることはなかった。クソッ、どうして当たらないんだよ……!

「──少しの間だったけど、蒼矢くんと付き合えて、私、幸せだったよ」

 心臓がドクン、と大きく跳ねる。いつの間にか、柄にもなく俺は涙を流していた。ことりのその悲しそうな声が、悲哀に満ちた顔が、そ
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