第3章
月光校庭のエクスカリバー
第28話 エクスカリバーを許さない!
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隠れていた。そして、その手にはさっきまで俺に突きつけていた日本刀があった。
「明日夏?」
「──何?」
女が刀を構えた瞬間、女の口から俺の名が出てきた。
なんで俺の名前を? いや、そういえば、こいつの声、聞き覚えが・・・・・・。日本刀──まさか!
「──槐」
俺がその名を口にすると、女はフードを取った。
フードの中からあらわになった女の容姿は長い黒髪をポニーテールにし、少しきつめの目つきをした少女だった。
間違いなかった。──夜刀神槐。俺と同い年ながらも正式な賞金稼ぎをやっている少女だった。
「ひさしぶりだな、明日夏」
槐は刀を鞘に納めると、笑みを浮かべて言う。
「ああ。本当にひさしぶりだな、槐」
最後に会ったのは、中学三年に上がるころだったから、ざっと二年と数ヶ月ぶりになるのか。
「なんでおまえがこの町に?」
いや、答えはわかりきっているか。槐はハンター。その目的は賞金首。そして、賞金首は世界中のどこにでもいる。たまたま、この町に賞金首がいて、そいつを追ってこの町に来たってところだろう。
「おまえが考えている通りだ。この町にはある賞金首を追ってレン兄上と訪れたのだ」
「レンも来てるのか?」
レンこと夜刀神蓮火。槐の兄で、同じく賞金稼ぎだ。
それにしても、槐だけでなく、レンまでいるってことは──。
「──おまえたちが追っている奴、相当ヤバい奴なのか?」
俺の問いに槐は表情を険しくする。
槐の実力は折り紙つきだ。以前相対したはぐれ悪魔やバイザー、今日のはぐれ悪魔程度、一人で討伐するなど余裕なほどだ。その兄、レンはその槐よりもさらに実力が上だ。さらに二人の連携力もかなりのもので、その戦闘力は桁違いだ。
そんな槐がレンと一緒に来ているのにも関わらずここまで表情を険しくするってことは、二人が追ってる奴は相当にヤバそうだな・・・・・・。
「これをやったのもそいつか?」
「いや、これをやった者の名前がそこに書かれている『ベル』というのなら違う者だ」
つまり、槐が相当警戒するような賞金首とこの惨状を生み出したイカレ野郎という危険人物二人がこの町にいるってことかよ!
「クッ!」
「あ、明日夏!?」
俺は槐を置いてその場から急いで駆け出す!
槐も慌てながら俺のあとを追ってくる。
「一体どうしたんだ、明日夏!?」
「部活仲間が近くを彷徨いてんだよ! しかも、あんまり調子がよくない状態でな!」
「なんだと!?」
雨が降りしきる中を俺は全力疾走で駆けながら木場を探す。
クソッ! 最悪な展開にだけはなってくれるなよ!
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