第3章
月光校庭のエクスカリバー
第28話 エクスカリバーを許さない!
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突きつけられ、ヘタに動けずにいた俺はおとなしく手を上げる。
チラッと刃物を見てみる。形状と特徴的な刃紋から、おそらく刃物の正体は日本刀。
「答えろ。これをやったのは貴様か?」
背後にいる日本刀の持ち主に問いかけられる。声からして、女、それも若いな。そして、そう質問するってことは、まずこの惨状を産み出した犯人じゃないということになる。
──この神父の仲間──シスター、いや、エクソシストか?
「いや。俺がここに来たときからすでにこの有り様だ。やった奴の顔が見たいもんだ──わざわざ名前を残すような奴だからな」
「何?」
俺の言葉に疑問符を浮かべているであろう背後の女に顎であるものを指す。
それは壁に血で描かれた文字だった。雨で少し溶けて垂れてはいたが、なんとか読めた。その文字はこう書かれてた──。
「・・・・・・・・・・・・『Bell the Ripper』・・・・・・だと」
「・・・・・・『切り裂きベル』・・・・・・『ジャック・ザ・リッパー』の真似か?」
壁の文字は『ベル・ザ・リッパー』──『切り裂きベル』と書かれていた。有名な殺人鬼、「切り裂きジャック」こと「ジャック・ザ・リッパー」の真似事か?
「こっちも確認するが、おまえはこの神父の仲間か?」
俺のほうも女の正体を探るために訊く。
「神父? いや、私は教会関係者ではない。それよりもなぜ、この男が神父だとわかった?」
おっと、余計な疑念を与えちまったか・・・・・・。
確かに、こんな状態じゃ、男性だとはわかっても、神父とまではわからないからな。
俺は手に持っていた十字架を見せる。
「十字架?」
「元シスターのダチがいてな。そいつが持っていたものと同じ十字架だったんだよ」
「それでその男が神父だとわかったわけか」
「そういうことだ。それともうひとつ訊くが──おまえは何者だ?」
少なくとも、このこの状況で冷静に俺を問い詰めるあたり、ただ者じゃないのは確かだ。
「こんな物騒なものを持ってる時点で、普通の一般人じゃないのは確実だよな?」
「そう問いかけるということは、貴様も普通の一般人ではないな? この状況でも冷静な振る舞いといい、何者だ?」
・・・・・・このままじゃ、埒があかないな。なら──。
「なっ!?」
俺は手に持っていた十字架を背後にいる女に投げつけた。
女の驚愕の声が聞こえると同時に首筋に当てられていた刀が首筋から離れた。
俺はそのスキを逃さず、刀を腕で上に弾き、武装指輪からナイフを取り出して振り向く。
ナイフを逆手持ちで構えたまま警戒を緩めず、女の姿を確認する。
黒の雨合羽を着ており、顔もフードで
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