14部分:第二話 受験の場でその二
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第二話 受験の場でその二
「やっぱり」
「そういうものかな」
「多分ね。ただね」
「ただ?」
「ねえ、斉宮」
陽太郎の名前をあえて呼んだのだった。ただし陽太郎はそれがあえてだということには気付いていない。ただ話を受けているだけである。
「受かったらだけれど」
「受かったら?」
「一緒のクラスだったらいいよね」
こう言ってみせたのである。
「一緒のクラスだったらね」
「ああ、そうだよな」
陽太郎もこのことは微笑んで応えたのだった。
「それじゃあな」
「そうよね。それだとね」
「ああ、それでだけれどな」
今度は陽太郎の方から言ってきた。星華の顔が赤いのは満員電車の熱気のせいだとばかり思っている。他の可能性については考えてもいない。
「御前の受験番号幾つだったっけ」
「私の?」
「ああ。何番だったかな」
彼が尋ねてきたのはそのことだった。
「受験番号。何番だ?」
「〇二五六よ」
自分の受験票を懐から出してである。そのうえで答えたのだった。
「それが私の番号だけれど」
「そうか。〇二五六なんだな」
「斉宮はどうなの?」
「俺は一〇五六だよ」
それが彼の番号だと答えるのだった。
「全然数が違うってことは」
「受験のクラスは別なのね」
「そうだよな。一緒に願書出したのにな」
それでここまで番号が違っているのが不思議だった。彼にしてもである。
「それでも。一緒に合格すれば問題ないか」
「そうよね。それだったらね」
「ああ、頑張ろうな」
「ええ」
お互いににこりと笑って言い合うのだった。二人はそのまま受験会場でもある八条学園高等部に向かう。そうして校舎に入ってスリッパをはいたところで別れるのだった。
「それじゃあな」
「またね」
お互いに手を振り合う。そのうえで別れてそれぞれのクラスに入る。星華はそのまま自分の席に着く。陽太郎はクラスに入ると二人の女の子がそれぞれ話しているのが目に入った。
「あれ、あの娘は」
「一緒のクラスになったわね」
「そうね」
月美と椎名である。しかし彼はまだ二人のことを何も知らない。
「じゃあ愛ちゃん、本当にね」
「一緒に受かろう、つきぴー」
「ええ」
「制服が違うのに」
陽太郎は自分の席の隣で話をする二人を見ながら述べた。二人の制服はそれぞれ全く別のものであったのである。しかしその会話はどう見ても友人同士のものだった。
「一緒ってことは。そうか」
ここでわかったのだった。
「塾か何かで知り合いなんだな」
こうしたことには鋭かった。ただしあることには別であったが。
何はともあれ陽太郎は受験の準備に入った。自分の受験票を机の上に出して筆記用具も出した。何時でもテストを受けられる態勢にした。
そしてで
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