第四話「迷い」
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蓬町商店街のグルメツアーへ出発……と、そのときだった。
「た、大変だぁー!!」
商店街の人が血相を書いて走っている。何かあったのだろうか? いや、何かあったに違いない!
「なんだ……!?」
何の騒ぎかと、俺と朱鳥は急いで騒ぎの方向へと向かって走った。
そこには、大勢の人の塊が集まっており、その向こうからは焦げ臭さと共に燃え盛る建物が映ったのである。
「ありゃあ……この前亡くなった爺さんの空き家か?」
「早く! 水をかけるぞ!?」
早く水をかけなければ隣の家々に火が燃え移ってしまう。
「みんな! うちの坊主を見なかったか!?」
そのとき、住人の塊の元へ一人の男が駆けつけてきた。魚路さんであった。
「ウチの坊主達が外へ出たっきり姿が見えねぇんだ!」
「ま、まさか……!?」
それを聞いた住人は、恐る恐る燃え盛る家を見上げた。そういえば、先ほどこのあたりで子供が二人ほど遊んでいたような……
「そ、そういや……あの家にさっきアンタの坊主らが……」
すると、魚路さんは息子らを助けようと燃えあがる家の中へ入ろうとするが、それを周囲の人たちに止められる。
「はなせ! 息子たちが……」
「ッ!!」
それを偶然にも聞きつけた俺は、このままジッとしていることが出来なかった。そのまま突っ走り、燃え盛る家へと突っ込んでいく。
「く、九豪君!?」
朱鳥の呼び止めも聞かず、そのまま俺は炎の中へ飛び込んだ。
「くそっ! コイツは早くしねぇと……」
四方八方にも火が燃えだし、火柱が次第に大きくなっていく。
「何か、ないか……!?」
すると、偶然にも燃え移っていないカーテンが一枚残っており、それを窓枠から引きちぎると、強化人間の怪力を出し、カーテンで火に向かって激しく叩き仰いだ。
さすがは強化人間の力であり、叩き仰いだ所の火は次々に消し飛ばされていく。行く手をふさぐ邪魔な火を消し飛ばしながら、奥の居間へと向かって進んでいった。
「誰かいないか!? 出てきてくれ!?」
その時、今の卓袱台の下から二人ほどの小さな人影が見えた。二人の男の子であった。二人は同時に必死で「たすけてー!」と、こちらに向かって叫び続けていた。
「待ってろ!?」
カーテンで周囲の火を消し飛ばしながら、急いで卓袱台の元へ駆け寄ると、男の子二人を両腕に抱きかかえようとすると、次第に真っ黒な煙がこちらへ近づいてくる。
火事で火よりも恐ろしいのが毒素がたっぷりと含まれたこの黒煙の群れである。この黒煙の中を突き進むとしたら、俺は大丈夫にせよこの子たちは……
カーテンの一部を引きちぎって、ハンカチ代わりに鼻と口をふさぐよう与えても、こんな薄い布では……
「こうなったら……!」
俺は、両手にカーテンを握りし
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