第四話「迷い」
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「ああ、いいよ? ついておいで」
と、俺と朱鳥は壮太を連れて商店街の入り口の脇に留めてあるR25の元へ戻った。
「うわぁ〜! かっこいい!!」
興味深そうに、バイクを宥めている壮太を見ている。バイクが好きなんだろうか?
「バイク、好きなの?」
「だってカッコいいじゃん! バイクって、ヒーローの乗り物でしょ?」
「まぁ……仮面ライダーとかはね?」
「いいなぁ……僕も、大きくなったらお兄ちゃんみたいにカッコいいバイクにのりたいな……」
「乗れるさ? 俺みたいなデブも乗ってるんだし」
「お兄ちゃんはカッコいいからいいんだよ。僕なんて、学校じゃいつもデブ、デブッていっつもさ……」
「ああ……兄ちゃんも、昔はそうだったよ?」
なんだか、まるで昔の俺みたいに感じた。俺も小学生時代は虐められっ子で、よくデブって連呼されながら腐ったモヤシ共にさんざん言われ続けたな?
「気にすんなよ? 俺たちがデブなら、連中は『腐ったモヤシ』さ。ヒョロヒョロした戦闘員みたいな奴だっつーの」
「あはは! 面白いね? ショッカーの戦闘員みたい」
なんやかんやで話が弾んでいる。
「そうだ! 九豪君? 壮太君がオートバイ大好きなんだし、後ろに乗せて少し走ってくればどうかな?」
と、朱鳥が提案した。
「え、いいの!? お兄ちゃん」
「ああ、まぁいいよ? 後ろに乗りなよ」
朱鳥が被っていたヘルメットを壮太にかぶせた。ブカブカだが別に大丈夫だろう。
「しっかりつかまってろよ?」
ぽっちゃりショタを後ろに乗せて、俺はバイクを走らせてこのあたりをグルッと数週してみた。壮太としては大満足である。
商店街へ戻ってきた後も興奮がおさまらなかったようだ。
「すっごーい! お兄ちゃん、スゲェカッコよかったよ!?」
「そんな……普通だよ?」
ついつい照れ臭くなってしまう。
「また、バイクに乗せてね!」
「ああ……またな?」
そのまま転ばないよう見守りながら、走って家に帰る壮太をの後姿を見た。
「気に入られてしまいましたね? 九豪君」
「そうなの?」
「壮太君って、普段は大人しい子なんですけど……あんなにハシャいだ姿を見たのは初めてです」
「へぇ……」
「さぁって! それじゃあ行きますよ!?」
朱鳥は目を輝かせてスケジュールを描いた紙を取りだした。
「行くって……?」
「このあと、商店街の名物をいっぱい食べまわるんですから♪ 今日は思う存分蓬町のグルメを満喫しましょうぅ〜!!」
――ああ、そういうことね?
反面、彼女も楽しみたいんだ。それなら、お付き合いしよう。
「よし! いっとくけど、俺は胃袋じゃ負けないよ?」
「言いましたね? 私も負けませんから♪」
再び
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