第四話「迷い」
[7/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
開いてこう答える。
「……元気になってもらいたかった。じゃ、理由になりませんか?」
「……?」
「この前、九豪君が戦ったあの現場は蓬町のすぐ近くにあった場所なんです」
「ッ……!」
そういえば、行く途中に倒壊したあの事件現場へ通じる曲がり角が見えた。それ以外にも幾つか見慣れた路地も所かしこに……
「あのまま、ISを倒さなかったら被害がここまで及んでいたのかもしれません。いえ、確実になっていました。今日、町内の人たちに聞いてみたら後少しで自分たちも危なかったって……もしかしたら、今日であった子供たちやお魚屋さんの魚路さんも傷ついていたかもしれないんです」
「……」
「あのISが何者で、何の目的で私たちを襲ったのかはわかりません。けど、あのISを倒したことで、これ以上犠牲を出ることもなくこの蓬町を救ったんですよ? 九豪君は人を殺したのではなく、多くの人たちを守ったんです」
「桑凪さん……」
「それに……」
すると、朱鳥はその細くて柔らかい真っ白な手を俺のゴツイ手の甲へと優しく添えた。
「それでも、罪を感じるのであれば同じ強化人間になった者同士、私も一緒にその重みを背負いますから……」
そして、甲に添えたその手はギュッと優しくも強く握りしめた。
「ありがとう……なんか、ごめん」
照れ臭そうに俺は苦笑いした。俺よりもつらい思いをしている女の子に慰められ、元気づけられるなんて本当にカッコ悪いな。なら、早いとこ立ち直らないと。
俺は、あのインターポールの滝っていう人がっていたことを思い出した。これまで仮面ライダーになった強化人間達も、こうして取り返しのつかない引き金を引いてしまうも、それでもその罪を乗り越えて立ち上がり、正義のために悪と立ち向かったんだろう。
「朱鳥お姉ちゃん!」
そのとき、急に俺たちの間に一人のショタが割って入ってきた。なんだか、ぽっちゃりとした太ったちびっ子である。
「あら、壮太君?」
「知り合いか?」
と、俺は当たり前だと思うが、一様問う。
「親戚の子です」
「そうなんだ……お父さん側の?」
「はい、叔父の子です」
「今日お姉ちゃんがそっちのお兄ちゃんと一緒にバイク乗ってきたからちょっとビックリした」
「こちらは、私のお友達の九豪お兄さんだよ?」
「やぁ、こんにちは?」
俺は一応愛想よく微笑んだ。そうしたら、その壮太という子は俺の元へ元気に駆け寄ってきた。
「ねぇ! お兄ちゃんさ、バイクに乗ってるよね? 仮面ライダーが乗っているのみたいにカッコいいバイクに乗ってたよね!?」
「え? まぁ……市販向けだけど」
「お兄ちゃんのバイク見てもいい?」
なにやら、結構懐いてくるようだ……まぁ、別に見せるぐらいならいいだろう。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ