第四話「迷い」
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」
「……」
朱鳥は、少し俯てしまった。
「い、いやぁ! すまねぇ!! つい……あの野郎が返ってきたかと思ってな?」
「大丈夫です。気にしてませんから」
「にしても……本当に、陸にそっくりだぜ?」
と、魚路さんは顎に手を添えてジロリと俺を宥めた。
「その……陸っていう人は?」
「ああ、朱鳥ちゃんの父ちゃんよ? 俺とは小学生のころからの付き合いでな。熊みたいにでっけぇ奴だった……しかし、あいつも朱鳥ちゃん残して行方不明になっちまってな?」
「ああ……」
――確か、朱鳥の親父さんは行方不明だったな?
そうか、やっぱり俺と朱鳥の親父さんは結構似てるのか……
「しっかし……兄ちゃんよ、あんた見慣れねぇ顔だな。どっから来たい?」
「池袋からです」
「ほう? それにしても、今時兄ちゃんぐらいの若い男もんが来るのは久しぶりやね? 若いもんでも朱鳥ちゃんぐらいだからな〜?」
「そんなに……珍しいんですか?」
「おうよ! 兄ちゃんぐらいの若いモンが少しでも居れば……ここも活気づくんだがな?」
すると、魚路さんは「さぁて! 仕事仕事〜!」と、背伸びをして行ってしまった。
その後、俺と朱鳥は商店街の店らを転々と回って食べ歩きを始めた。この商店街のコロッケやたこ焼きは結構美味い。
商店街の人たちも人柄やよさそうだし、嫌な気持ちにはならない。こんないいところを、どうして市は除外という酷なことをするとは……
それから、食べ歩きを終えた後は横町のいたるところを回って、さらに食べ歩き。俺的には案外楽しかった。
しかし……それが終わったもつかの間、子供たちが「遊ぼうー!」を連呼して再び襲い掛かってきた!
再びライダーごっこで、女の子を人質に取った怪人役をやらされて、ショタの容赦ないライダーキックを食らいまくった……
「うぅ〜……やっと解放された」
またベンチに座って、俺はため息をついた。しかし、こんなに忙しいと思ったのは久しぶりで、逆に面白かった。
「蓬町は如何でしたか?」
と、隣に座る朱鳥が訊ねた。見る限り、不安そうだが……
「いい町じゃないか? みんな良い人みたいだし……」
「小さいころ、お父さんと一緒によく遊びに来た所なんですよ?」
「そうなんだ……」
「いつ来ても変わってないから大好きなんです。お父さんと一緒に来た思い出の町ですから……よく、肩車してもらいながら商店街を見て回ったなぁ……」
「……」
朱鳥にとって、この場所は父親と一緒に過ごした掛け替えのない大切な場所だったのか。そんな場所へ俺を連れ出したのは何故だ?
「でも……どうして、俺をこの場所へ誘ったんだ?」
「……」
しかし、朱鳥は黙って頭上を空を見た。それまでに間が続いたが時期に口を
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