第四話「迷い」
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ないな……
「お兄ちゃん! 僕ライダーね?」
「じゃあ俺怪獣!」
「ちがう〜! お兄ちゃんはカナとおままごとするの〜!!」
「こ、効果覿面過ぎて逆に恐ろしいな……」
「そうだ! 今日はこのお兄ちゃんも一緒に遊ぶよ。いいかな?」
と、朱鳥はひらめいたがごとく、子供たちに提案した。これまた案の定、俺は子供たちと一緒に遊ぶ……遊ばれることになった。
「いっ……ててて! 本当に小さい子たちってのは容赦ねぇな〜……」
遊び終わったあと、俺は一息いれるために近くのベンチに座った。商店街の屋根に空いた穴から除く空を見上げたあと、ふと呟いた。
「平和だな……」
暮らしは決して楽そうではないと思うけど、こうして目の前を住人達が行きかう光景を見れば、何とも平凡でありふれた街並みともいえた。
「ふぅ〜……おつかれさま九豪君」
と、一息つく最中に朱鳥が隣に腰を下ろした。
「静かでいい場所だな?」
「ええ、今のところ政府からの弾圧や生活面での制限等はかけられていないそうですから」
「日本ぐらいかな? こんな町があるのは……」
海外では、女尊男卑の風習が殆ど根付いているために男女平等を主体とした集落はもうここを除いては残されていないのかもしれない。
前にも言ったが、女尊男卑とISによってこの世界が成り立っていても過言ではないために、今時男女平等ならぬ男女同権を訴えれば「反社会」主義者と思われるだろう。
「り……陸!?」
見知らぬ中年の男からそう声をかけられた。業務用のエプロンに帽子をかぶった商店の人だった。エプロンに魚と書いてあったから魚屋さんだろう。
「え?」
しかし、魚屋の男は目の前の大柄な若者を見て人違いだということに気づいた。
「あぁ……すまねぇ、人違いだった」
「……」
「いやはや、ついてっきりと知人と見間違えてね?」
「はぁ……」
「あ! 魚路さん?」
隣に座っている朱鳥は、そう男の名を言った。知り合いだろうか?
「おお! やっぱり、朱鳥ちゃんかい? 先週はウチのガキが世話になったね?」
「いえいえ? また、いつでも遊びにいらっしゃいとお伝えください」
「いやいや、面目ねぇな? こっちは忙しくて坊主たちの相手をしてやれる暇がなくってなぁ?」
と、頭を掻きながら面目ないと苦笑いする魚路という魚屋は、次に俺の方へ目を向けた。
「……ところで、そっちの兄ちゃんは誰だい?」
「クラスメイトの九豪君です!」
「ほぉ〜? こいつは朱鳥ちゃんも隅におけねぇな〜?」
「そ、そうじゃないですよ〜!? え、えっと……」
しかし、朱鳥は赤くなってそっぽを向いてしまった。
「しっかし……本当に陸とそっくりだな? 俺ぁ、てっきりアイツが帰ってきたかと……
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